第終章 生還 999話
Biosphere lifespan
よしろうはんが目を開けた。
アルマーが息を呑んだ。不二子はんは動かなかった。
「おとうさん」とアルマーが言う。
「まだおったんか」とよしろうはんは言うた。
「おりますえ」と不二子はんは言うた。「270年、ずっとここに」
よしろうはんはゆっくり起き上がった。窓の外に、庭が見えた。風が草を揺らしていた。
「地球が生きている間は」と、よしろうはんはぽつりと言うた。「人も生きていられる。そういうことやと思う」
100歳のアルマーが手を伸ばした。よしろうはんはその手をやんわり握った。
「心配するな。まだ書き終わっていない」
不二子はんは少し笑うた。
「あしたが、まだ待ってますえ」
風がもう一度、庭を渡った。