第12章 大豆の間引き菜 594話
「何してはるんかぁ?」 「大豆の間引き菜や」 「ようけありますな」 不二子はんは籠をのぞき込んだ。 「捨てるのもな」 「そらもったいないどす」 一本手に取る。 「根っこも食べられるらしい」 へー しばらく眺める。 「そうやな。おもろいけどやめとこかぁ」 よしろうはんは笑った。 「せっかく生えてきたのに」 「畑に生まれたんが運の尽きどす」 不二子はんはそう言うて、間引き菜を洗い始めた。 蛇口の水が流れる。 「まぁ、食べられるいうことはええことでっせ」 「そうやな」 窓の外では雨が降っていた。 不二子はんは籠を抱え直した。 「今日は胡麻和えとソテーにしますえ」