第8章 ヒキガエル大帝国構想 447話
「今日は休みだ、不二子はん」 なにしはる?と顔を覗き込む不二子。 そうやな。と考えるよしろうはん。 ははーん 「よしろはん、ヒキガエルのこと考えてるんやろ(笑)」 「そうなんよ。けったいな生き物なんよ。それにな、子供のころ見たことなかったんで」 へー 「本田の杉の園でいっぴき見たのが五年前。こんどは後谷に三匹で、昨日産卵したわ」 へー 「そんでヒキガエル抱いていく……でっか?」 茶化す不二子が、にやにや笑う。 聞かんことにしたよしろうはんは、煙草に火をつけた。 「いや、ほんまに大帝国つくるんや」 真顔で言った。 へー こらしまったな……と不二子は空気を切り替える。 データはすでによしろうはんの脳内に収まり、 そこから物語と行動プロセスを予測して、 正確に千匹の“大帝国田んぼ”をシミュレート済みだった。 「うちに手伝えること、なにかありますさかい?なんでもいたしますえ」 よしろうが、やっと笑った。 「おおきにな。不二子はんのそういう所、愛してるで」 うぁ。そなんこと簡単に言うて……! 嬉しい、と笑顔になる不二子はん。 照れくさそうに、 「なんでもしますさかい」 「そうか?なら、ヒキガエル十匹捕まえて来てくれ。それくらいこの村にはいるやろ」 ぎょ。ぎょぎょぎょ。引き下がる不二子。 その形相を見て、よしろうはんは腹を抱えて笑った。