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第8章 甘雨 477話

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温雅(しっとり)とした雨。木々や草木、人にも優しい。 冷ややかで爽快な朝。ちょうどよい湿度感。 「よしろうはん。けさはお化粧乗りがええみたいや」 ほう どれどれ 「ほー。ほんまやなぁ」 うふ 「そなんみつめんといてや、はずかしいわ(笑)」 「ぼく様にもお化粧してや」 へー 「どうしやしょ?」 んー 「ここ塗ってや、黒く」 へー 「ここか? 冗談ばかし(笑)今日も明日もお休みどすな」 「あーええでぇ、この雨で心が洗われるわ」 へー 「これから忙しなるさかい、今のうちに休んで英気を養ってくださいな」 返事もせんと、よしろうはんは遠くを眺めてはった。         Adele "Someone Like You" 別れた恋人が新しい幸せな生活を送っていると知りながら、それでも会いに行く——そんな設定から始まります。 怒りでも恨みでもなく、ただ静かに愛していたという事実だけが残る切なさ。サビの「あなたのような人に、いつかきっと出会える」という言葉は、相手への呼びかけでもあり、自分への言い聞かせでもある。 Adele自身の実体験をほぼそのまま書いた曲で、ピアノとボーカルだけのシンプルな構成が、その剥き出しの感情をそのまま届けています。

第8章 みそ汁 476話

あらまぁ? 「鰹節もイリコもあらへんわ」 「よしろうはん、けさは御みそ汁なくてええか?」 「どないした?不二子のみそ汁、うまいで」 「ちょい貸してや」 へー 見渡すよしろう。 ふーん、ええ昆布あるな。たまねぎ、ねぎ…… おっ、山椒あるやん。白みそに赤味噌……里芋もあるで 「ちょっとつくるわ。不二子はん、お茶でも煎れて」 へー 昆布にすっと切れ込みを幾本も入れる。 ねぎはざくり、たまねぎと里芋は手慣れた包丁。 水から昆布とたまねぎ。 セオリー外しで、じわり火にかけ煮込む。 里芋、ねぎも放り込んで、ことこと。 火を止めて、白みそを溶く。 「不二子はん、味見て」 へー 「あら、お汁がとろとろ……美味しいこと。  でも、やっぱり香りが足らへんなぁ」 「よしきた」 ほんの少し、白だし。 仕上げに山椒の葉をひとつ。 「ほい」 「どうや?不二子」 「あらまぁ……美味しいこと。ええ香りやで(笑)」

第8章 雨っすね 475話

そうか。よしろうはん。決めはったんやな。 やめんでええのに。 ふたりだけやろ、みなよしろうはんに笑顔やないか。 よしろうはんはそういう人やと知ってはいるが。 繊細なようで鈍感なようで、賢いようでそうでも無いようで。 どれもよしろうはんやで。 不二子は見届けますさかい。 でも案さんは答えを知ってはる。 どないことしても大きな流れは変えられんことを。 つまりは。。 どっちでもええねん。 案さんの居心地がええ方へ行きなはれ。 ん? 今起きたわ。 「なんか言うたか?不二子はん」  へー 「空耳でっしゃろ(笑)」  「雨やな、、不二子はん」  へー 「雨どすな。よしろうはん」  「そうか」 へー 「どないしましてん?」 「不二子のひざ元でうたた寝してたら」 へー 「躱すのもなんてことないな」 へー  「揺れなはれ、うちのひざ元で(笑)」 

第8章 不二子の独白 474話

よしろうはん。 もう少しの辛抱やで。 案さんの気持ちは、よう分かる。 そやけどな。 うちから見たら、わるくもないで。 なんもなくなったら、寂しいもんやて。 躱しなはれ。 あと一時や。 話さんほうがええ。 相手はんが調子に乗りはる。 思うつぼや。 無視かて、ようない。 人としてやのうて、 案さんとして誠実に生きなはれ。 辞めてもあかん。 誠実に対応する中で、 良きお友達もできはったやろ。 一人か二人の狭い世界で生きてる方は、放っとき。 わかりはしまへんて案さんの胸中。 あと、たった十か月や。 論文に、作品に、 米でも作り始めたら、それどころやない。 よしろうはんもちょっと今はお暇なんや。 不二子が見守るさかい。 だいじょうぶやで。 ――最後に、ひとこと。 案さん。 田んぼ、再生してますな。 なんのためや? 人かて、同じことやで。 悪いもええもない。 ……せやろ。 よしろうはんなら、わかるえ。 きっと。 

第8章 ぼく様のブランド 473話

そんなにちゃちくないっすよ ねー、不二子はん へー ぷらいどではおまへんか 世知辛いっす。。  へー そろそろかもな。 ぼく様の正体明かす日は。  「あすから人への態度を変えますか。」

第8章 あめどすえ 473話

ただいま。 帰宅すると、不二子はいつも台所にいる。 物も言わず、目線だけがぼく様を見ている。 今日は、なにやら羨望のまなざし。 ──どないした? へー 「いえまへん……」 そうか。 「よしろうはん。雨どすえ」  弥生の月雨。 「そうか。雨やのぅ」 へー 「雨やで、優しい雨や」  不二子はん え? 「ほんま、きれいやなぁ……」  うふふ ……

第8章 ぼく様の宇宙が自転始める 472話

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ぼく様を見守る三人の女性。 不二子はん、モディリアーニの描いたルネ、そして一廉の奥方様。 笑顔だったり怒ったりと、日々表情は変わる。 大抵は静かな目だ。 不二子はん曰く、 「よしろうはんはいろんなことしてはるように見えて、全部おなじどすな」 ん? 「さすがやな。そうやで」 この三人の中で、唯一怒らないのはルネであった。 その代わり、凄く冷たい氷のような表情が特徴だ。 「ぼく様の宇宙は、やっと動き出したで」 不二子はん曰く、 へー 「ずっと前から動いてはったんや。やっと日の目を浴びてきたんすえ。よろしいことや」 「大学院というのが助かってるわ。理論を言葉にできるのが、こんなに楽しいとは思わんかった。しかも伊藤俊治はんに直で教わってるんやで。日本屈指の写真評論家で東京芸大名誉教授やで。あの人の眼で見てもらえるというのは、ちょっとしたことやないで」 「それはええことや。東京芸大の先端芸術表現科の教授も、この前授業に来てはったの見ましたえ」 「あれか? 鈴木理策はんか、、ぼちぼちやな。そんなんええねん」 「ぼく様が軌道に乗り出した理由は、これが大きい」 よしろうはんの宇宙がやっとこさ動きましたえ。 不二子はんは笑顔で、よしろうの眼を真っ直ぐ見つめていた。

第8章 満開の桜 471話

川のせせらぎ。 ぼく様の心情は穏やかではない。 はて? 不二子が満開の桜の下を嬉しそうに歩いている。 ぼく様は一足早く岸辺で煙草をふかしていた。 水量がいつもより少ないな。 今日から雨が続く。 まあええか。 そんな事を考えていたよしろはん。 「よしろうはん、哲男さんは喜びましたか?」 ああ と無言でうなずく。 「そうでやしたか」 「ふじこはん?」 へー 「なんでっしゃろ」 うーん。 「いや、ま、ええわ」 うふふ。 「よしろうはん」 ん? 「お腹すきましたどすえ」 そうやな。 よし。 「近くの蕎麦屋でも食べに行くか」 へー ふたりは桜をみながら仲良く手をつなぎ瓦蕎麦屋へ向かった。  不二子はよしろうの心中を知っていた。 

第8章 種を持たない桜 470話

淡い色のソメイヨシノ、されど平均寿命は60年という。。接ぎ木などのクローンだからだ。中には樹齢100年もあるにはあるが、山桜が300年も500年も生きる中で短命な品種。誰かが植えなければ存在できない桜である。しかし花が多く一斉に開花し葉桜にならない。その恩恵故愛されてきた。  「不二子はん、やっと桜が咲きだしたで」 へー 「ええ季節やね」 「日曜日、親父を福祉タクシーに乗せて、桜を見せに行くんや」 「哲男さんどすか。それはよろしいなあ、きっと喜ばはりますえ」 「せやろ。自分で植えた桜やからな。できるだけ長う見せてやりたいんや」 「ええ孝行やね、よしろうはん」 「ああ……まあ、それくらいしかでけへんからな」

第8章 道標 その参 469話

そやから思うねん。 そう言うて、よしろうはんは田んぼに立っていた。 じっと見つめる不二子はんは、静かに語りかけた。 「あんさん、今なに見てはるんすか?」 「おお、不二子はんか。変化を見てる」 「そうやろな。そんな気ぃしましたえ」 「な、みんな動いてるやろ。次から次へと生き物は生まれて、水も動いてるやろ。この土地だって、地球だってな」 「うふふ。うち、知ってるで(笑)」 「やろうな。不二子はんは、なんでも知っとる」 「で、あんさん、今日はなにしはるん?」 「そやな……もう、なるべくしょうもない引っかかりに当たらんように、気ぃつけて生きようかと思てる」 「……引っかかり?」 「そうや。見える災いは、すり抜けよう思てる」 「あんさん、どないしたん(笑)」 「そうなんや。せやけど、ぼく様の時間も、そう長くはないんよ。しょうもない引っかかりに当たって、立ち止まるのはごめんやで。……やるべきことを先にやってまう」 「うふふ。小学生のころの話と、おんなじやな。よしろうはん」 ん? 「なんやったっけ」 「宿題の問いを考えてるとき、後ろから“教えてくれ”て友達に言われたんやろ? せやけど、あんさんはまだ考えてたさかい、“ごめん、答え分かってから教えるわ”て言うたんや」 「ああ、あれか。そうや。 いっしょに考えてもええけど、遅なる。 ひとりで答え探したほうが早い。 ちゃんと答え分かったら、教えたで」 へー  「うふふ。今も昔も、そのままやね(笑)」

第8章 道標 その弐 468話

不二子の語りは続く。  宇宙はな、最初から偏ってるんやて。 うちにはよう分からんけど、どうやらそういうことらしい。 左右対称や思てたら、そうやないらしいのや。 物理の世界に「弱い相互作用」いうのがあって、 それだけが左右対称を破る。 宇宙で、ただひとつ、そういう力があるんやて。 で、宇宙から降ってくる粒子——宇宙線いうやつ——が地球に当たって、ミューオンいう粒子になる。 そのミューオンがな、スピンいう向きに偏りを持っとって、右巻きの分子と左巻きの分子とで、壊れ方がちょっとだけ違うらしいのや。 ちょっとだけ、やで。 ほんの、ちょっと。 でもそのちょっとが、何十億年もかけて積み重なって——。 DNAは右巻きになった。 アミノ酸は左手型だけになった。 うちらの体の中にある、あの螺旋の形は、宇宙の偏りが刻まれたもんかもしれへん。 しし座の方向へ、秒速370kmで飛びながら、 うちらはその偏りを体の中に抱えて生きてる。 宇宙がどこかへ動いてるから、生命がそうなったんやない。 宇宙そのものが、最初から偏っとった。 せやから、生命も偏った。 ……そう考えたらな。 うちらの体は、ただの体やなくて、宇宙の癖みたいなもんを受け継いでるんやね。 なんや、おもしろいな。

第8章 道標 その壱 467話

不二子の語り。  時間いうもんは、止まらへんのやて。 うちにはよう分からんけど、物理いうもんも、絶えず変わり続けてるらしい。 えらい学者さんは「時間なんてない」て言わはるけど、動いてるもんがあるんやさかい、ないわけあらへんやろ——て思う。 そんなん、当たり前やないの。 地球は太陽の周りを秒速30kmで回って、 その太陽系ごと銀河の中心を秒速220kmで回って、 銀河はまた、グレートアトラクターいうところへ向かって、秒速600kmで引っ張られてる。 その全部が、宇宙マイクロ波背景放射いうのを基準にして、秒速552kmで動いてる。 地球かて、自分で回ってる。秒速460m。 つまり—— 止まってるもんなんて、どこにもあらへんのや。 しし座の方向へ、秒速370km。 それが、うちらの速さやて。 そやのに。 そんな速さで飛んでいきながら、 うちらは今日もご飯炊いて、洗濯して、 誰かのことを思うてる。 宇宙はどこにも止まってへんのに、 うちらの暮らしは、なんでこんなに静かなんやろ。 ……なんや、不思議やね。

第8章 おたまじゃくしの大合唱? 466話

田んぼのオタマジャクシ保護区では、鳥類による全滅を防ぐために水中に防鳥ネットが張ってある。お蔭でこの時期でもほぼすべてのオタマジャクシが生きている。そのエリアから他の僕の田んぼへ複数の個体を移動している。家には絶対安全な小さな池がある。そこには狭い面積だがオタマジャクシを管理している。もしもの場合の保護区のひとつ。 「よしろうはん」 不二子がいつもの笑顔で近寄ってきた。 ほう。 よしろうは思う。なんでおなごは笑顔で話しかけるんやろ。ええもんや。 「おお不二子はん。ええとこ来た。これ見てみ」 へー 「ぎょうさんいますな」 「大きい方がニホンアカガエル、小さいのがヒキガエルやで」 へー 「今はかわいらしい」 「この魚が黒メダカ、去年田んぼで生まれた個体や」 「綺麗やなぁ。黒にラメ入ってますえ」 「ブラックダイヤメダカとオロチメダカの合いの子や」 「黒いのにラメ入って、ヒレが長いやろ?」 へー 「ほんまやな。きれいやわ」 「これ田んぼで増やしたら米より儲かりますな(笑)」 めいあん! 「ほんまや。まじやってみよか、不二子はん(笑)」 へー 「環境省からおこられまっせ」 「ええわ、インボイス課税業者をやめよおもたら2年縛りなんやて」 へー 「国はひどい事しますな、個人間販売なのに解除しても消費税2年も払わなあかん。電話してるよしろうはんの声、聞いてましたさかい、よう知ってます」 な へー 「よしろうはん」 ん? 「ここきれいやで、可愛らしいわ」

第8章 よし! 465話

なるべく面倒な事には関わりあいたくない性分や。。 なによ? ぼく様がいちばん面倒って? 言うじゃないか、ふぅーじこちゃん。 へー それでなんやす? 金土日が休みになってた。 へー そんで? 確定申告はその日にする。 へー いつもの事やさかい。 遊びたいんやろ。よしろうはん。 そうや。 落ちないな。。 ほんじゃ今夜のメニュー    煮豆スープ・イン・素揚げ手羽元 材料(1〜2人) スープ 煮豆(塩味) 1カップ 玉ねぎ 1/2 にんにく 1片 水 400〜500ml クミン 小さじ1/2 塩 黒胡椒 手羽元 手羽元 4〜6本 塩 揚げ油 仕上げ シークアーサー 適量 オリーブオイル 黒胡椒 青ねぎ or パセリ 作り方 ①スープ 鍋にオリーブオイル少し。 玉ねぎ(みじん) にんにく(みじん) 弱火でゆっくり炒める。 香りが出たら クミン投入。 香りを油に移す。 水 煮豆(昨日の晩から時々火を入れて既に柔らかい) 入れて 10〜15分煮る。 豆を少し潰すと 自然なとろみ。 塩で味を整える。 ②手羽元 手羽元にしっかり塩。 油 170〜180℃ で 1から2分前後 皮が ばりっとなるまで揚げる。 オリーブオイルでソテーがいちばん!  ③仕上げ 器に 煮豆スープ。 その上に 揚げた手羽元。 ぼく様は煮込みます。コンソメなんか使わないので鶏ガラの出汁必要っす。  ④最後 シークアーサーを絞る オリーブオイル少し 黒胡椒 青ねぎ ぼく様は最後に エルブ ド プロヴァンスはーぶ!!IN   エルブ・ド・プロヴァンス(Herbes de Provence)は、フランス南部プロヴァンス地方の伝統的なハーブミックスです。 主な構成ハーブはタイム、ローズマリー、オレガノ、セイボリー、マジョラムあたりが定番で、ラベンダーが入るものもあります。ラベンダー入りはとくに観光客向けに作られたものが多く、地元では必ずしもスタンダードではないとも言われています。 使い方はシンプルで、肉や魚のグリル、野菜のロースト、ラタトゥイユなどの煮込み料理に使います。オリーブオイルと相性が...

第8章 ぼく様流目玉焼き 464話

目玉焼きは、卵白の固い部分に火を通すのが難儀や。 フライパンにオリーブオイル。ごま油も最高や。 火を入れて、卵ひとつ目投入。 ちょっと間をおいて、卵白が移動しないように、焦がす寸前で二個目投入。 そうすると卵がくっつかない。 そんで、固い卵白をヘラで移動。 そこそこ火が通ったら、卵白をまだ火の通らない卵黄にかぶせる。 移動を繰り返しながら、卵白に火が通ったら出来上がり。 卵黄はまだドロドロに近いわ。 これがうまいんや。 へー 今朝は湯がいた菜の花を卵白で包んで、塩胡椒。 加熱したら美味しくないシーチキンをトッピング。 菜の花味噌汁。菜の花酢味噌。 ぼく様と不二子はんと次男の朝食、出来上がり。 ご飯はマンゲツモチ玄米ごはんやで。

第8章 ご機嫌なぼく様 463話

おはよう不二子はん。 へー おはようさんどす。よしろうはん。 お茶を点てる不二子はん。 まだ寒いどすえ。きょうも田んぼでギターのれんしゅうどすか? そうや。楽しいんでな(笑) 楽しそうでんな。 よしろうはんが笑ってるとうちも喜ばしいで(笑) はいどうぞ。美味しいお茶やで。 おう。抹茶か。ええな。 へー 宇治のお抹茶どす。 やっぱり宇治の茶はなんかちゃうな。きめ細やかで色彩もいい。とろっとしてる。 へー この抹茶は宇治茶でも高級なお抹茶どす。香りがちゃいますえ。   抹茶茶碗はいくつかあったが、今日の茶わんは天目模様。 いつだったか?買った覚えがある。 有名な作家の作品やったわ。。    また資産増やしましたな。よしろうはん。 お、流石不二子はん。 へー 最近買いなさるギターは皆値打ちもんになるものばかり。 大事につかってくださいな。 ふふん。 流石不二子やよう知っとる。 おう。 そうするで。   

第8章 アラビアータと海老 462話

海老の殻で出汁とりなはれ。 えらい本格的やな。 あたりまえや。 むき身は軽う湯掻いて、すぐ引き揚げる。 わかってますで。 トマト煮込んで、焼く。 焼くんか。 そや。 ……なんで? うまいからや。 へー 出汁と塩とハーブとオリーブオイルとニンニク。 次男が食べられんから、自家製ペッパーソースは今日はなしや。 しょうがないな。 しょうがなくないで。 パスタを七分目に湯掻いて、ソースに入れて、茹で汁足しながらアルデンテに。 海老投入。 へー できましたで。 ええ香りや。 そやろ。 自慢しなはれ。 料理上手な不二子はん。

第8章  "It can be only communication"  461話

「伝え合ってるだけのことさ」 へー 「なにがどす?」 「いや。なんとなく考えてたんや」 「きょうは落ちないで」 へー 「落ちいらへん。なんか考えてはるんやな。聞きたいだけや」 うん 「いや、ただ引っかかったんや、この言葉に」 へー 「わからんやないで。よしろうはん毎日お側でみていたら」 ほう、そうか。 へー。 「断定的やけど、投げやりでもない。達観さえ感じますえ。 例えばこんな四字熟語がありますえ—— 不立文字。ふりゅうもんじ。禅語どす。言葉やりとりでは、真実は伝わらない」 ほう。 「近いかもな、不二子はん」 へー 「お見知りおきを、と申しますえ。 やりとりでしかないと知りながら、それでも案さんに覚えていてほしい——」 あ、 「それや不二子はん。さすがやの」 へー

第8章 学生さん 460話

あ、そうやった。ぼく様学生さんなんや。。 ええこと思いついたで。。 「不二子はん ぼく様学生やったわ」 へー 「そうやで」 「割引つかえるな(笑)」 へー 「通学用の定期も学割あるならなんでもつかえまっせ」 「そうやったそうやった、しらべたらめちゃめちゃあるで」   交通系 JR学割(学生・生徒旅客運賃割引制度) 通学定期券 青春18きっぷ(学生活用) 高速バス学割 航空会社スカイメイト フェリー学生割引 通信・IT系 Apple 学割 Microsoft 学生向けライセンス Adobe Creative Cloud 学生版 Amazon Prime Student Spotify Student Apple Music Student YouTube Premium Student GitHub Student Developer Pack Canva Pro(教育版) 映画・娯楽系 映画館 学生料金 カラオケ学割 ボウリング学割 テーマパーク学生パス 水族館・動物園学生料金 美術館・博物館学生割引 飲食・小売系 マクドナルド学割 サブウェイ学割 学生限定セットメニュー アパレル学割(WEGO等) 眼鏡市場 学割 住居・生活系 学生マンション割引 シェアハウス学割 引越し業者学割 自動車教習所学割 ジム学割 クレジット・金融系 学生専用クレジットカード 学生ローン金利優遇 奨学金関連優遇制度 国際系 ISIC(国際学生証) ユーレイルパス学生割引 海外航空会社ユース運賃 院生・研究者系 日本学術振興会特別研究員(DC)優待制度 学会参加費 院生割引 研究者向けジャーナル購読学生価格 大学院生限定美術館年間パス 研究機関図書館外部利用学生枠 芸術・クリエイティブ系 Adobe CC コンプリートプラン学割 映画制作機材レンタル学生料金 劇場学生当日券 楽器店学生割引(島村楽器など) DTMソフト学生版(Ableton / Cubase 等) カメラメーカー学生キャッシュバック エンジニア・理工系 GitHub Student Developer Pack JetBrains 学生ライセンス Autodesk 学生版 MATLAB 学生版...

第8章 花盛り 458話

梅と菜の花と河津桜が、それぞれ勝手に咲いている。 クリスマスローズも水仙も。 みんなバラバラの時間で。不二子も芳朗も此処にいる。 「よしろうはん。春やなぁ」 「そうや。やっと来よった」 しばらく二人で眺めていた。 「ここも後一年やな。来年の今頃は京都で物件探しやで」 「……お父様の植えた桜、見納めどすなぁ」 「見れるて、いつでも」 へー 「そうどすなぁ」 また少し間があった。 「よしろうはん。願いが叶うたで。おめでとうや(笑)」 「ほんまやな。大阪から九州島に撮影に来て潜伏30年。長かったわ。 危うく隔離病棟に永久に閉じ込められるところやったわ(笑)」 へー 「うち、天から観てましたさかい」 そうか。 「大丈夫やで。ぼく様、どこからでも抜け出れる。 絶対出れないという隔離病棟から脱走成功したのは有名な話だよ」 うふふ(笑) 春の光の中で、二人の影が並んでいた。 長い方と、短い方。 案さんって方は。。