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ヒキガエル大帝国物語 基本情報 7/7 田んぼにまつわる動植物レッドリスト

  環境省レッドリスト(2020)— カエル目・準絶滅危惧(NT) 和名 学名 主な分布 トノサマガエル Pelophylax nigromaculatus 本州・四国・九州 トウキョウダルマガエル Pelophylax porosus porosus 関東〜東北南部 ミヤコヒキガエル Bufo gargarizans miyakonis 宮古島 オオハナサキガエル Odorrana supranarina 沖縄島北部 補足:絶滅危惧(NTより上位)のカエル類 比較のため、より深刻なカテゴリーに入っているものも並べると: 和名 カテゴリー 特徴 ナゴヤダルマガエル IB(EN) 東海〜瀬戸内 水田依存 ナミエガエル IB(EN) 沖縄北部 イシカワガエル VU(II類) 沖縄・奄美 ハナサキガエル VU(II類) 沖縄島 トノサマガエルとトウキョウダルマガエルはどちらも水田依存型で、中干しや圃場整備のダメージをダイレクトに受ける構造が共通しています。ナゴヤダルマガエルはさらに水辺依存性が高く、IB類まで追い込まれている。水田農業の近代化が一群のカエルたちをまとめてレッドリスト入りさせているわけです。   環境省レッドリスト(2020)をもとに、水田生態系に依存・関連する主な種を分類群別に整理します。 田んぼにまつわる絶滅危惧・準絶滅危惧種 両生類 種名 カテゴリー ナゴヤダルマガエル IB(EN) ニホンアカガエル IB(EN) トノサマガエル NT(準絶滅危惧) トウキョウダルマガエル NT(準絶滅危惧) アカハライモリ NT(準絶滅危惧) 魚類(汽水・淡水) 日本産の汽水・淡水魚の42%が絶滅したか絶滅のおそれのある危機的状況にあり、これらの多くが水田やその周辺水域に生息しています。 種名 カテゴリー ニホンメダカ VU(II類) ドジョウ NT(準絶滅危惧) カネヒラ(タナゴ類) CR(IA類) アブラボテ VU(II類) イチモンジタナゴ EN(IB類) 昆虫類 種名 カテゴリー 備考 タガメ VU(II類) 2020年から種の保存法で販売目的の捕獲・売買が禁止 ゲンゴロウ VU(II類) かつて水田に普通 コガタノゲンゴロウ CR(IA類) ガムシ VU(II類) タイコウチ NT(準絶滅危惧) 鳥類 種...

ヒキガエル大帝国物語 基本情報 6/7 成長タイムライン

ヒキガエルの成長タイムライン(ニホン・アズマヒキガエル) 卵〜変態まで(約1〜1.5ヶ月) 2〜3月に産卵。産卵からおよそ1ヶ月半後にオタマジャクシから変態し、小さなヒキガエルとして上陸します。東京付近では3月中旬に産卵し、4月下旬〜ゴールデンウィーク頃には成体として上陸を始め、ゴールデンウィーク明けには池から姿を消します。 変態直後 変態したばかりの幼体は体長10mm未満と非常に小さい。 Raindrop 最大サイズに達するまで(2〜5年以上) 生後2〜3年で平均100mmを超えるまで成長し、繁殖に参加するようになるのは雄で3歳程度、雌で4歳程度からが多い。野外では10年生きることもある。 Raindrop 最大体長はアズマヒキガエルでは15cmを超えるものもいます。 Honda 完全な最大サイズへの到達はおそらく5年以上かかると考えられています。

ヒキガエル大帝国物語 基本情報5/7 ガマの油成分

  ガマの油の伝承的成分 動物脂肪(皮下脂肪) ガマ(ヒキガエル)の体内にある脂肪分を火で溶かして抽出 基本的な油分で、軟膏や塗り薬としてのベースになる 皮膚の分泌物(毒腺分泌物) ヒキガエルは皮膚に毒腺を持つため、油には微量の分泌物が含まれる 毒性のある成分は、現在では**bufotoxin(ブフォトキシン)**などが知られている 民間薬としては、微量の刺激成分が血行促進や痛み止めのように解釈された タンパク質やペプチドの残留 火で炙る過程で大部分は分解されるが、民間伝承では「精の成分」として効能があるとされた 水分や微量ミネラル 抽出後に濾すことで油分主体だが、わずかな水分や池のミネラルも混ざっていた可能性 現代的視点 実際に人体に塗ると 刺激や毒性のリスク があるため、現代では作らない 伝承上の効能(火傷・怪我・肩こりなど)は、ほぼ「民間信仰・民俗の効能」と考えられる 現代で似た用途なら、植物性オイルや市販軟膏が安全な代替品

ヒキガエル大帝国物語 基本情報4/7 ガマの油売り

ガマの油売り — 江戸の町の一幕 江戸のある町の夕暮れ、小さな路地に一際賑やかな声が響きます。 「さあさあ、ご覧あれ! ただの油ではございませんぞ、 ガマの油 でございます!」 行商人は、竹筒に入った油を掲げ、ヒキガエルの形を模した小さな壺を見せながら口上を始めます。 「この油は、池のガマの脂肪と分泌物を火で炙り、心を込めて抽出した、天然の薬でございます! 火傷や切り傷、腰痛や肩こり、風邪の初めにも効き目抜群!」 町人たちが集まり、子どもも大人も興味津々で見守ります。 行商人はさらに声を張り上げます。 「一滴塗れば痛みも和らぎ、あやしい災いも逃げ出すとか逃げないとか…さあ、これは単なる油ではございませんぞ、ガマ大王の力が宿る不思議な油でございます!」 客が戸惑いながらもつい買ってしまうのは、この ユーモアたっぷりの長口上と妖怪伝承のミックス の力です。 行商人はさらに、夜に池に現れる巨大なガマ大王の話や、池や田んぼでヒキガエルが作物の豊作を守る縁起の良さを語り、町人たちの興味を最大限に引きつけます。 こうしてガマの油は、単なる民間薬ではなく、 江戸の町の娯楽と民俗信仰が合体した文化的商品 として、人々の暮らしに彩りを添えていたのです。

ヒキガエル大帝国物語 基本情報3/7 名前の由来と文化の全貌

  ヒキガエル — 名前の由来と文化の全貌 日本の田んぼや山里に暮らすカエルの仲間の中で、ひときわ目立つ存在がヒキガエルです。その名前の由来は、体を伸び縮みさせる独特の動きが「引く」ように見えることから「ヒキ」、そしてカエルの仲間であることから「ガエル」と名付けられたもので、文字通り「引くように動くカエル」という意味を持ちます。古くは「ガマ」とも呼ばれ、妖怪や民間薬として扱われ、平安時代の文献にも記録が残るほど日本人の暮らしに深く関わってきました。 地域によっては「イボガエル」や「モチガエル」といった愛称もあり、田んぼや池に多く現れることから、農作物の豊作の象徴や害虫駆除の益虫として村人に尊ばれました。しかし同時に、その毒や不気味な姿から夜に現れる巨大な「ガマ大王」の妖怪伝承も生まれ、村人を驚かせる存在となりました。知恵ある長老や子どもたちの工夫で災いを避ける話は、怖さと縁起の良さを両立させ、日本の民俗文化に根付いた象徴的物語となりました。 さらに、ヒキガエルから取れる「ガマの油」は火傷や怪我に効くとされ、江戸時代の行商人たちは長い口上を述べながら町を巡り、薬効や妖怪の逸話を交えたユーモラスなパフォーマンスで人々を引き込みました。このように、ヒキガエルは単なる生物としてだけでなく、名前の由来が示す動きや姿から、妖怪、縁起物、民間薬、農業信仰、地域文化、民話、行商の演技まで、多層的に日本人の暮らしや文化に息づく存在となったのです。

ヒキガエル大帝国物語 基本情報2/7 ヒキガエルの交尾様式

ヒキガエルの交尾様式 1. 抱接(ほうせつ) オスがメスの背中に乗る 前肢でメスの前胸部を抱きしめる この姿勢で精子を受精させる 人間で言う性交器の挿入はない 2. 外部受精 メスが水中で卵を産む オスはその上から精子をかける 卵は水中で受精する 体の中で受精は起きない

ヒキガエル大帝国物語 基本情報1/7 生息数

ニホンヒキガエル( ニホンヒキガエル )成体は完全な肉食で、主に夜行性。視覚で動くものを感知して舌で捕食するため、動かないものは食べにくい。田んぼや森の周辺では、ミミズ、甲虫、バッタ、コオロギ、クモ、ナメクジなどを中心に摂食する。大型個体では小型カエルやヤモリなども捕食することがある。一晩で数十匹の昆虫を食べ、活動期での年間摂食量は1〜1.5kg程度とされる。 1反(約1,000㎡)の無農薬・森隣接・常時水の田んぼ環境では、地表性無脊椎動物の年間バイオマスは約40〜80kgと見積もられる。この条件では理論的に50匹程度のヒキガエルが支えられる計算になる。しかし実際には他の捕食者や冬眠期の摂食停止、餌の偏りなどを考慮すると、安定して定着できる個体数は 20〜35匹程度 が現実的な上限とされる。繁殖期にはオタマジャクシの数が一時的に増えても、最終的な成体数は餌資源の量、隠れ場所の有無、越冬環境に強く依存する。 人工的にオタマジャクシを保護して変態率を上げても、田んぼ単体では餌量や縄張りの限界から、最終的に抱えられる成体数は大幅には増えない。隣接する田んぼや森に分散させることで初めて個体数を増やせるが、遺伝子や病気の管理には注意が必要で、県をまたぐ移動や遠距離放流は推奨されない。理想環境では、ヒキガエルは自然に周囲に拡散して生活圏を広げるため、人工保護は主に局所個体群の安定化や成長率の補助として有効である。 結果として、1反の良好な田んぼ+森環境では、ヒキガエルは 20〜40匹前後が安定して生息可能 。繁殖池や湿地を複数配置し、無農薬と越冬場所を確保することで、地域の個体群を長期的に維持できる。ヒキガエルの個体数は、産卵数ではなく餌量・隠れ家・越冬環境によって決まるというのが生態的な本質である。   日本に生息するヒキガエルは、在来種4種と外来種1種です。 在来種 アズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus) 東日本全域、本州東部から中部以東の関東・東北などに広く分布する。茨城県や筑波山周辺にも自然個体が生息。北海道や伊豆諸島、佐渡島などでは人為的に移入された個体もいる。 ニホンヒキガエル(Bufo japonicus japonicus) 西日本、本州西部から四国・九州に自然分布。東京や仙台などの例は移入個体である可能性が高...