第12章 縁切り 586話
翌朝、不二子はんは台所で水菜を洗っていた。
不二子はんの手が、ふっと止まった。水だけが流れ続けた。パソコンの画面に、新しいメールが一件、届いた。不二子はんはそれを見て考えた。
「もう、ええわ」
それだけ言って、また水菜を洗い続けた。水の音だけが台所に響いた。
よしろうはんは煙草の灰を落として、メールを伝えた。
無言の不二子。
何かあったかは、二人とも聞かなかった。
午後になって、不二子はんは庭の日本ハッカに水を。
よしろうはんが通りがかって、ちらっと見た。
「消したんか?」
へー
何事もなかったような不二子。
ハッカの葉に水が落ちる音が続いて、それで章は終わった。