冒険
なんか環境を変えたくなった。
写真を撮り、米を育て、木を植え、ギターを弾き、小説を書き、研究をする。
傍から見れば十分すぎるほど多様な日々だと思う。
それでも最近、少し違う感覚がある。
飽きたわけではない。
慣れたのだと思う。
いや、慣れたというより、体が全部知ってしまった。
田んぼの匂いも、季節の移り変わりも、いつもの光も、人との距離感も。
知り尽くした場所には安心がある。
けれど驚きは少ない。
昔からずっと、どこか別の土地で暮らしてみたいと思っていた。
最近になって、その考えが妙に現実味を帯びてきた。
旅ではなく、住む。
しばらくそこで生活する。
写真を撮り、畑を見て、木を植え、小説を書き、研究を続ける。
やることは変わらない。
ただ土地が変わる。
そうすると見えるものも変わる気がする。
イタリアでもいい。
大事なのは国ではなく、自分がまだ知らない風景の中に身を置くことなのかもしれない。
新しいことを始めたいのではない。
同じ自分を、まだ知らない土地に移してみたい。
そんなことを考えている。