第12章 雨笑う 585話
うちもそう思うてたとこやわ。
家路につく二人。
「なんか作りましょうかね」
不二子はんが言うた。
「ええな」
よしろうはんは笑うた。
台所はまだ少し薄暗い。
不二子はんは冷蔵庫をのぞく。
「ありもんでええやろか」
「なんでもええで、不二子はんの料理はうまいから」
外は雨。
なんだか騒がしい。
不二子はんは鍋を出しながら言う。
「悩み事、ほんまはまだあるんちゃいますの」
よしろうはんは少し黙った。
「まあな。でも今日はええ日や」
「ほな、それで十分どすな」
鍋に入れた水が揺れた。
もう永遠に話せんな。。
そうよしろうはんは考えていた。