第11章 養子 552話
お茶が二杯目になった頃、不二子はんが言うた。
よしろうはん。
なんや。
アルマーのことなんですけど。
うん。
うちらが引き取るいうことは、できますやろか。
よしろうはんは茶碗を両手で包んだ。 しばらくそのままでいた。
実はな、俺も同じこと考えとった。
不二子はんは少し驚いた顔をした。 けれど何も言わんかった。
迎えが来んかったもんは、残りますやろ。
残るな。
残ったもんは、居場所を探しますやろ。
そうやな。
よしろうはんは窓の外を見た。 山は暗うなっとった。
マリアもそうやったな。
不二子はんはゆっくり頷いた。
しばらく二人とも黙っとった。 お茶の音もせんかった。
まずは見つけなあかんな。
よしろうはんが静かに言うた。
そうですね。
不二子はんも静かに答えた。
けれど二人とも、もう探すだけの話ではなくなっていることを知っていた。