第12章 雨の形 583話
雨って、しずく型ではありません。
小雨は球体を保ち、
大きな雨粒は潰れてハンバーグ型になるそうです。
昔、あるイラストレーターが雨を見上げる構図で描いていました。
雨粒は真ん丸でした。
彼女はきっと、目で見たまま描いたのでしょう。
凄いよね。
大学生だった当時のぼくは感心しました。
いつの間にか、彼女はぼくのアパート内の向かいに引っ越してきました。
そういう訳で、お付き合いが三年ほどあったでしょうか。
当時から有名な漫画家さんでした。
「雨は下から見たら丸いんだよ」
もう四十年も昔のことを、よしろうはんは思い出していました。
彼も今空を見上げました。
丸いかもな。
そう思いました。
俯瞰で見るのではなく、見上げる。
僕の特徴であるローアングルから見る視点は、この辺りから生まれたような気がします。
結婚の約束をするも別れてしまった二人。
壮絶な別れ方でした。
ただ。
僕は、その頃と変わらないように思えます。
もっと小さい頃から、何も変わっていないようにも思えます。
適応しようとは考えない。
何なんだろうとばかり考えているんだ。