第11章 風変わりな 558話
よしろうはんはこの村を歩かない。 風変わりなという以上の偏見に満ちているから。 これだけの仕事を成し遂げようとしているが。 それ故、そうそうな事に干渉できない。 ただそれだけだった。 よしろうはんが村を歩かはらへんのは、うちにはよう分かりますえ。 あの人は、ここにおってここにいてはらへん。 それが偏見やとか、風変わりやとか、そない言う人もおりますやろ。 でもうちには、そうやないと分かる。 偉業というのは、うちの言葉やないけれど、あの人のしてはることを見てたら、そうとしか言えへんのどす。 ただ、そのことをあの人は誰にも言わはらへん。 言わへんから、誰にも分からへん。 分からへんから、風変わりに見える。 うちだけが知ってる、というのも違う。 うちも、全部は知らへん。 ただ、あの人の背中を見てたら、何かに向かうてはる、ということだけは分かる。 それで十分やと思うてます。 村の時間と、よしろうはんの時間は、ちゃうのどす。 どちらが正しいとか、そういうことやない。 ただ、ちゃう。 その違いを、あの人は誰かに説明しようとはせえへん。 そこがうちは、いちばん好きなところどす。