WILD LIFE ーRecreating the Natural World
WILD LIFE ーRegenerating the Natural World
僕の生活はワイルドライフそのものだ、と最近思う。
もちろん、アカデミックな大学院生活ではない。朝から図書館にこもって文献と格闘する、あの静かな研究生活とは程遠い。かといって、冒険家や旅する人、野生的な環境で生きる者たちのワイルドライフとも違う。バックパックを背負って未開の地を旅するような、あのスタイルでもない。
写真を構築するために無農薬の稲作環境を広げてきた。手掛けた総面積は7町になる。1反から始めて、少しずつ広げてきた田んぼで、生物多様性を実践的に観察しながら環境修復に取り組んでいる。農薬を使わない田んぼには、驚くほど多様な生き物が戻ってくる。それは農業であると同時に、写真理論と微小位相差論の実証現場でもある。
僕の家から野鳥の鴨や雁、タシギ、蛙や虫の音が聞こえる。僕は田んぼという環境に生活できるワイルドライフを彼らに与えている。しかし、僕が稲作を始めた時、彼らはこの圃場にいなかった。最も激減していたのは田んぼの水生生物——水生昆虫、爬虫類、両生類だ。農薬と乾田化によって、劇的に生息数が減っていた。野鳥も冬季湛水を始めてから来るようになった。それまで居なかったのだ。これこそ、二次的自然である水田での創生である。
釣った魚は食べる。音楽を愛しギターを弾き、ハウスやEDMで踊りたくなったら、たまに街へ出て朝まで踊る。京都芸大の大学院で写真理論を研究しながら、「不二子はん」の創作も続けている。今は270話を超えたあたりだ。
これら全ては、理論的枠組みと実践の往復で統合されていく。無秩序に生きているわけじゃない。むしろ、高度に構造化されていくプロセスそのものが、僕にとってのワイルドなのだ。
常に現場に向き合う。田んぼであれ、川であれ、ダンスフロアであれ。理論は現場から立ち上がり、現場は理論によって再構築される。その循環の中で、自然は創生され、僕のワイルドライフが立ち上がっている。
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