第3章 再生 274話
「よしろうはん。こっちむいて……誰もいない。」
不二子は写真の中で、うーううぅ、と身をよじっている。
「もどったで。どこいはるんか?」
すると、両手が額装された写真から、にゅっと抜け出た。
おや? あれ? なんざんしょ?
うわっ、出れる……出れるで。
なんか、ここから出れそうや。
にょき、にょき、にょき、にょき……
にゅるにゅる……
ぷっしゃー!
あらら。
不二子は写真の中から飛び出した。
床に手をついて、ゆっくりと立ち上がる。
自分の手を見る。足を見る。
これ、わたしの手や。わたしの足や。
不二子は、ついに人間として生まれ変わったのだった。
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