第8章 花盛り 458話

梅と菜の花と河津桜が、それぞれ勝手に咲いている。
クリスマスローズも水仙も。
みんなバラバラの時間で。不二子も芳朗も此処にいる。

「よしろうはん。春やなぁ」

「そうや。やっと来よった」

しばらく二人で眺めていた。

「ここも後一年やな。来年の今頃は京都で物件探しやで」

「……お父様の植えた桜、見納めどすなぁ」

「見れるて、いつでも」

へー

「そうどすなぁ」

また少し間があった。

「よしろうはん。願いが叶うたで。おめでとうや(笑)」
「ほんまやな。大阪から九州島に撮影に来て潜伏30年。長かったわ。
危うく隔離病棟に永久に閉じ込められるところやったわ(笑)」

へー

「うち、天から観てましたさかい」

そうか。
「大丈夫やで。ぼく様、どこからでも抜け出れる。
絶対出れないという隔離病棟から脱走成功したのは有名な話だよ」

うふふ(笑)

春の光の中で、二人の影が並んでいた。
長い方と、短い方。

案さんって方は。。


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