第3章 寝室にて 257話
寝室にて
「なあぁ。不二子は、まだ人間ちゃうから気持ちよくないやろ。感じへんやろ?」
「そうかな? なにを感じへんのか……ええ気持ちやで」
「おおきにな。はよう三百話書いてや。あと、たしか四十四話や」
「そしたら、不二子は人間にもどれるから」
「閻魔のはなしやろ?」
「そうや。よしろうはん、信じてへんのやな?」
「まぁ、そうなったらええかな。それくらいや」
「相変わらず、つれないお方」
でも、それがよしろうはんの特性。ちゃんと意味あるの、知ってますえ。あれ?彼と似てきたわ......
「ずっと現実を見てきたからな。しゃーない」
「不二子、もっとこっちへ」
「……ぴったんこやぁ」
嬉しそうなよしろうはんと、不二子はん。
「これから毎日こうして眠れるんやなぁ。不二子、幸せや」
「ぼく様かて幸せやで」
「ほんま、幸せ過ぎるで」
「幸せボケになって、なんもせんようになったら、不二子、ぼく様の頭をたたいてくれ」
「はい? 叩くなんてできませぬ」
「いやいや、軽くでもええ」
「どうしてや?」
「リセットボタンや」
「?」
「頭叩いてくれると、どんなに酔っぱらっても、調子に乗っても我に返るんや」
「うふふ。やっぱり変態や……」
「はい、ではそういたしますわ」
………。
「お? なんか不二子、標準語の不二子もええな」
「そうでしょうか。それでは、標準語でお話ししましょうか」
「それに英語も、長崎弁もしゃべれるで、どっちや^^」
「ん?」
よしろうはんの顔をつねってお道化る不二子。
よしろうはんも笑顔で、まんざらでもない様子。
「いやいや、やっぱり今までの方でええ。たまに使ってくれ。ぼく様みたいに」
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