第3章 これから 256話

寄り添う二人

「あー、しんど」

「どないしたん? よしろうはん」

「ぼく様、あまり小説は読んでないねん。そやからプロット考えんの、しんどかったわ」

「ぷろっと?」

「そうや。あらすじの構成みたいな感じかな。……まあ、ええわ」

「そうどすか。うちは小説すきやで。なんでも読んできましたえ」

「ほう、そうか。博学やしな。わかるわ」

「よしろうはんは、何を読んでこられたんどす?」

「殆んど生物学と、そやな……西洋の小説。哲学。宗教。そんな感じや」

「へぇ〜。サルトルとか?」

「あー、あいつは嫌いや。キルケゴールが好きやったな」

「うち、知らへんわぁ」

「そうか。……まあ、ちょっと昔の哲学者や」

「頭でっかちは好まへん」

「おいおい。哲学は頭でっかちか?」

「そやわ。不二子にはそう思うんどす」

「そうか、そうか。そうかもしれん。実存主義はおもろかったけど、今となればな。意味ないわ」

「だれやったかいな……」

「そうや。小泉八雲は読んだか?」

「もちろんどす。あの人の本、好きやわぁ。確かに、生物学でもありますえ」

「よしろうはんも物知りやな」

「それはちがうわ。あんぽんたんやけど、その都度学んだだけや」

「ところで、第3章のプロットはできはったんか?」

「あるわけないで」

「いままでは?」

「適当や」

「へぇ〜」

「おばかさんか、才能あるか、わからへんな!」

「きっと阿保やろ」

「天才も秀才も阿保にはかなわん」

相変わらずの名言や............

(談笑......)

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