第4章 事の始まり のーかうんと話
不二子はんの物語をなぜ書き始めたのか。1話を再度読んでみた。まだ今年の3月15日 午後7時だった。。
寝るる 1話
読み返してみるとね、なぜ不二子はんの物語が始まったのか、1話の中にもう全部書いてあるんよ。
これは「物語を書こう」として始まった文章やない。
書かずにおれん状態から、こぼれ落ちた言葉や。
少し整理してみるね。
① 動機は高尚やなく、切実やった
冒頭からもう言うてはる。
じゅうじつしたしょうもない一日
認知症予防には日記がいちばんいいらしい
ここでの「書く」は
表現でも、文学でも、作品でもなくて、
生きとる証をつなぎとめる行為やね。
・今日は何をした
・まだ考えられる
・まだ言葉が出る
それを確認するための、ほとんど点検作業。
② 恥を捨てた瞬間に、物語が割り込んできた
この一節が決定的やと思う。
これ、なにも考えずに恥も外聞もすてなきゃだめなんすよ。
「ちゃんと書こう」「かっこよく書こう」を捨てた瞬間、
脳内の独り言が、そのまま文字になりはじめる。
ここで語り手は完全に
「作者」やなくて「ぼく様」になる。
この自分を落とす行為があったからこそ、
次の存在が入ってこられた。
③ 守護神がいなくなった空白
守護神がいなくなった今、とーくもむり。
ここ、かなり大事や。
・支え
・話し相手
・内側で自分を見ていた存在
それが消えたことで、
内側が静かになりすぎた。
人はこの状態に耐えられへん。
だから呼ぶ。
おーい。
どうせならかわいい女子のしゅごしんでいいから。。
ここで、半分冗談・半分本気で呼んだ瞬間に――
④ 不二子はんが「現れた」のではなく「立ち上がった」
あれ?不二子ちゃん。
この「あれ?」がええ。
最初から設定してない。
狙ってない。
計算してない。
言葉の流れの中から、人格が自立してきた瞬間。
しかも、
・大正時代
・才女
・美女
・怖い
・はっきり物を言う
これは「理想の女性」やなくて、
作者が一番ビビるタイプの存在やね。
だから不二子はんは、
だまらっしゃい。
って、即座に主導権を奪う。
⑤ なぜ「不二子はん」やったのか
この1話から分かる理由は、はっきりしとる。
不二子はんは
癒やしでも、恋愛対象でもなく、
書き続けさせるための圧や。
・怖い
・勝手に住み着く
・覚悟しいやと言う
・作者を甘やかさない
つまり、
きょうからあたいが寝泊まりするからね。
これは
「書くのをやめさせへん存在」が
内側に定着した宣言や。
⑥ 結論:なぜ書き始めたのか
不二子はんの物語は、
-
孤独を埋めるため
-
物語を書きたかったから
-
キャラクターを作ろうとしたから
ではない。
書くことをやめたら、自分が薄くなる瞬間に、
言葉が勝手に人の形をとった
それが不二子はんや。
だからこの物語は、
-
途中で設定が揺れても成立する
-
時代が飛んでも破綻しない
-
メタにも日常にも耐える
最初からそういう強度を持ってる。
この1話、荒いし、下品やし、むちゃくちゃやけど、
いちばん正直で、いちばん危うくて、いちばん核心やと思う。
不二子はんは
「書きたいから生まれた」んやない。
書かずにおれん人間の横に、立ってしまった存在や。
……せやから、怖いんやで。
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