第4章 事の始まり のーかうんと話

 不二子はんの物語をなぜ書き始めたのか。1話を再度読んでみた。まだ今年の3月15日 午後7時だった。。

寝るる 1話

じゅうじつしたしょうもない一日が終わりマスタ。
これでも作業してるんすよ。ね。こぴーとったり。たんぼみにいったり。さけのんだり、たばこふかしたり。でもあれですよ。認知症予防には日記がいちばんいいらしいです。それに結構脳のえねるぎぃを使うらしいです。こんなへんてこりんな文章もかんがえるの大変っすよ。これ、なにも考えずに恥も外聞もすてなきゃだめなんすよ。かけますか?これ脳内で言えても、はずかしくて書けませんよ。おんながすきだ、おんながすきだ、なんてまいにちかけますか?むりっす。ぼく様だから書けるんすよ。 守護神がいなくなった今、とーくもむり。おーい。おまえじゃなくていいからかえってこいよ。どうせならかわいい女子のしゅごしんでいいから。。あれ?不二子ちゃん。不二子はしんかわ家最高の才女で美女。大正時代から来はったん?はいはいきました。あん様なにやってんのさ。こわいすけど。。怖いに決まってるでしょ。もうはらはらどきどきさせるんやもん!え。。と。これでも仕事まじめにしてるんすよ。まじめにかくと、女子は難しい!というんです。ふざけてもばかにされるんすけど後者がいいかなとね。だまらっしゃい。あんさんはそのほうがモテるて。ドキ!え?まじすか。そーや。きょうからあたいが寝泊まりするからね。覚悟しいや。けっこう不二子はん怖わ。。あすに続く。
 
 

読み返してみるとね、なぜ不二子はんの物語が始まったのか、1話の中にもう全部書いてあるんよ。

これは「物語を書こう」として始まった文章やない。
書かずにおれん状態から、こぼれ落ちた言葉や。

少し整理してみるね。


① 動機は高尚やなく、切実やった

冒頭からもう言うてはる。

じゅうじつしたしょうもない一日
認知症予防には日記がいちばんいいらしい

ここでの「書く」は
表現でも、文学でも、作品でもなくて、

生きとる証をつなぎとめる行為やね。

・今日は何をした
・まだ考えられる
・まだ言葉が出る

それを確認するための、ほとんど点検作業


② 恥を捨てた瞬間に、物語が割り込んできた

この一節が決定的やと思う。

これ、なにも考えずに恥も外聞もすてなきゃだめなんすよ。

「ちゃんと書こう」「かっこよく書こう」を捨てた瞬間、
脳内の独り言が、そのまま文字になりはじめる

ここで語り手は完全に
「作者」やなくて「ぼく様」になる。

この自分を落とす行為があったからこそ、
次の存在が入ってこられた。


③ 守護神がいなくなった空白

守護神がいなくなった今、とーくもむり。

ここ、かなり大事や。

・支え
・話し相手
・内側で自分を見ていた存在

それが消えたことで、
内側が静かになりすぎた

人はこの状態に耐えられへん。

だから呼ぶ。

おーい。
どうせならかわいい女子のしゅごしんでいいから。。

ここで、半分冗談・半分本気で呼んだ瞬間に――


④ 不二子はんが「現れた」のではなく「立ち上がった」

あれ?不二子ちゃん。

この「あれ?」がええ。

最初から設定してない。
狙ってない。
計算してない。

言葉の流れの中から、人格が自立してきた瞬間

しかも、

・大正時代
・才女
・美女
・怖い
・はっきり物を言う

これは「理想の女性」やなくて、
作者が一番ビビるタイプの存在やね。

だから不二子はんは、

だまらっしゃい。

って、即座に主導権を奪う。


⑤ なぜ「不二子はん」やったのか

この1話から分かる理由は、はっきりしとる。

不二子はんは
癒やしでも、恋愛対象でもなく、

書き続けさせるための圧や。

・怖い
・勝手に住み着く
・覚悟しいやと言う
・作者を甘やかさない

つまり、

きょうからあたいが寝泊まりするからね。

これは
「書くのをやめさせへん存在」が
内側に定着した宣言や。


⑥ 結論:なぜ書き始めたのか

不二子はんの物語は、

  • 孤独を埋めるため

  • 物語を書きたかったから

  • キャラクターを作ろうとしたから

ではない。

書くことをやめたら、自分が薄くなる瞬間に、
言葉が勝手に人の形をとった

それが不二子はんや。

だからこの物語は、

  • 途中で設定が揺れても成立する

  • 時代が飛んでも破綻しない

  • メタにも日常にも耐える

最初からそういう強度を持ってる。


この1話、荒いし、下品やし、むちゃくちゃやけど、
いちばん正直で、いちばん危うくて、いちばん核心やと思う。

不二子はんは
「書きたいから生まれた」んやない。

書かずにおれん人間の横に、立ってしまった存在や。

……せやから、怖いんやで。

コメント

このブログの人気の投稿

Playlist,,Deep House,Music Played in Louis Vuitton Stores

第3章  祇園にて 300話

やっとだぜ。

微小位相差論のための新しい機材 

第3章 寿司屋にて 292話