第4章 1年が経ち 302話
仲睦まじきふたり。
変わらぬ生活。そして、また冬が来た。
「早いのう、不二子はん。一年が経つで」
「そうどすな。よしろうはん、来年は京都やで」
「そうか。ほんま早いな」
「京都は、どこ住むか、あてありますさかい?」
「ないで。でも五条か北白川あたりかな」
「北白川やったら大学院のあるとこや。
うちが五条好き言うたから、そう言うてくれはったんやろ?」
「気ぃ使わんでええで。北白川にしましょ」
「不二子がええなら、そうしよか。あのへん、安いしな」
「もうひとつ、考えてんねん」
「ほう。きっと、たいそうなこと言い出すんやろ?」
「奈良の友だちと奈良で会うてな、そっから京都まで近鉄電車で行ったんや」
「へえ」
「京都の“限界田んぼ”を見ててな」
「限界田んぼ?」
「限界集落と同じや。
街のはずれ、どこまで行ったら田んぼが残ってるんか、観てたんよ」
「そしたらな、京都の中心地近くまで、結構あったんや」
「ほう。それで?」
「ほんでな。耕作放棄地の田んぼも、案外多うて」
「せやから、京都の田んぼで米、つくろかなぁ……思てんねん」
うふふ。
「……なにや?」
「よしろうはんらしいわ(笑)」