第3章 Nomaへ 297話
寝室にて
「不二子。行きたい国あるか?」
「へー。うち、東南アジアのフィリピンと日本しか知らなん……。
そやから、行きたい国なんていっぱいあるでぇ」
「ほう。どこがええ?」
「フランス、ルーマニア、バルト三国……」
「そら、おもしろそうやな」
「リトアニアにある『十字架の丘(Hill of Crosses / Kryžių kalnas)』は見たいな」
「よしろうはんは?」
「そやな……まずはイタリア。シチリアに行きたいわ。
でもな、コペンハーゲンの世界一のレストラン、Noma(ノーマ)にも行きたい。
シェフのレネ・レゼピ(René Redzepi)がつくる“味の世界”を、じっくり堪能したいんや。
Nomaの料理哲学──『場所と季節の本質を表現する』っていうアプローチ。
あれが、たまらん。でっかい写真集もあるんや」
「へぇ……不二子も興味あるで。行かへんか?
新婚旅行に」
「そうしよか。それ、ええなぁ(笑)」
「そうしましょ」
「あー、夢が広がるわ。不二子と一緒なら……おやすみ」
「おやすみなぁ、よしろうはん」
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