第4章 呼子へ 316話

さてと、しばらく休みやな。
あそこ、行こか……。
そうやな。行くか。

「不二子はん、佐賀行くで。呼子行って、烏賊食べよや」

「まじすか……」

よっこらしょ。

……うん?
不二子、どこや?

「もう乗っとるで。行きますえ、はよう。よしろうはん」

「まじすか……」

そんなに烏賊、食べたいか。

「おう。すぐ行くで」

 

ちゅちゅんがちゅん!

 

「呼子、着いたで」

えーと……どこやったっけ。美味しい店。 
不二子がタブレットで調べる。 

萬坊? 玄海?

「どこ行くで?よしろうはん」

「どこでも同じや。
 せやけど回転の悪い生簀の店はあかん。痩せとる」

「前に食べたんは国民宿舎やったな。めちゃ旨かったで」

「マンボウも有名らしいで」

ほな、三番目に有名なんは?

えーとな。

「漁火」

「よっしゃ。そこ行こ」

「なんでやねん」

「ええから行こ。
 それくらいが一番ええねん」

「そんなもんけ?」

「そんなもんや」

――いらっしゃいませー。

へー。

「いか活造りのコース、二つな。
 おっきい水烏賊、あるか?」

「へー。今が旬。今朝市場であがった水烏賊があります」

「ほな、それ二つ。
 不二子はん、他に何かある?」

「じゃあ……あわび、イカシュウマイと追加でイカの握りな」

へー。

「酒も二つ。熱燗で」

へー。
 
ちゅちゅんがちゅん!
 

「はぁ……おなか一杯や。おいしすぎ!」

「そうか。よかったで」

「大将! 烏賊、もう一杯!」

へー。

「……不二子はん。まだ食うか」

「好物やねん(笑)」

 

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