第8章 河津桜が咲き誇る 456話

阿蘇の桜は、気が長い。東北と変わらぬほど遅い。

しびれを切らした住人たちが、河津桜を植え始めた。早咲きのその桜は、もう八分咲きのものさえある。濃いピンクの並木が、立野瀬田線をひっそりと彩っている。

梅か桜か、僕にはいつも判断がつかない。

うちの河津桜は、もう散ってしまった。冬のうちに、咲いてしまっていたのだ。あれは本当に河津桜だったのだろうか。色も、記憶よりずっと薄かった気がする。

大地は変わっていく。桜も、虫も、鳥も、黙ってそれに付いていく。

では、我々は。

相変わらず、話し合いばかりだ。遅い。遅すぎる。

「へー」

と、不二子はうなずいた。

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