第11章 歩きつづく 523話

なんも言わんと、よしろうはんは歩き続けてはる。

嫉妬を嫉妬と思わず、罵声を罵声と思わず、苦労を苦労と思わず。

目の前の障害を障害と思わず、ひたすら歩き続けるよしろうはん。

そんな姿を、不二子はんは素敵やと思っていた。

よしろうはんにとって、それだけが心の拠り所やったのは間違いない。

「きょうもお疲れさまどす(笑)」

「ん?」

「そうか? いつものことや。不二子はんの笑顔見ると、なんでもないように思えるで。ありがとさん」

「へー。やっぱりお疲れどすな」

「今朝は、よしろうはんのお好きなベリージュースと、生ハムとアボカド、レタスのサンドイッチや。いかがや?」

「おー。ありがとな。いただきます」

「ほー。これは旨いわ! よかったら、ダージリンの紅茶か、コナコーヒー淹れてくれんか?」

「へー。両方淹れましょ(笑)」

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