第7章 3:47 四三四話

「不二子はん、ちょと今日はご飯食べに行こうや」

「宜しいどすな」

「ちょっと車出すから、はい、これお財布」 

へー

お財布が玄関に浮かんでいる。

よしろうはんはカジュアルな軽装。

うちもなんか羽織ろうか。

お財布は階段をすーと登って行った。

暫くして、お財布は軽トラに向かい、ドアが開きお財布は浮かんだまま車は走った。

「どこいこうか、不二子はん」

「きめてないんどすか?」

「そうや、不二子はんと一緒に外の空気吸いたかったんや」 

へー

「うちは軽食でええ。でも、甘いもんが欲しいで」

「よしわかった」

車は外輪山を登り、矢部の寛政蔵へ向かった。

「ここ知ってるか?」

「なんやら一度来たような。りっぱな酒蔵ですえ」

「そやろ。よう夏は此処へ涼みに来るんや」

よしろうと隣りにお財布が浮かんで店へ歩く。

ドアを開け店員が呼びかける。

「お一人様ですか?」

「いや、二人やで、はりーぽったーと来たんや、ほれ」

と浮かんだ財布を指さす。

財布はそのまま不二子のすきなテーブルへ向かった。

店員は、、、間があいて我に返り、

「お二人様ですね。きょうは空いてますのでお好きな席でどうぞ」

はいはい。

「お連れ様、透明マントなんて本当にあるんですね!」

「びっくりさせてごめんな。あの人あーゆういたずら好きなもんやさかい(笑)」 

「いえいえ(笑)わたしハリーポッター大すきなんです(笑)」 

ほな。

不二子は窓際から少し離れた高いテーブルに座っていた。

泉水に反射した光が不規則に店内を照らした。

あれ?

よしろうは不二子の姿に当たる光が透過してない事に気づいた。

なるほどな。

よしろうは考えていた。

軽食はホットサンド、その後不二子は食べたかった酒粕ワッフル、矢部茶アフォガードを頂く。 

「よしろうはん。うち幸せや(笑)」 

微笑むよしろう。

「なぁ。不二子はん、不二子はん免許もってたっけ?車運転できる?」 

へー

「たしなむ程度なら。。」

たしなむって?なんやろ(笑)

「お酒飲みたいか?よしろうはん」

「そやな。せっかくやしな」

へー

「ええで、うち帰りは運転するさかい」

たのむわと相づちをうった。 

超美人酒ソムリエの選んだ利き酒3点セットひとつ。

はいかしこまりました。と店員。 

旨い。

ごくりと飲み、嬉しい表情のよしろうはん。

「いやなぁ、ぼく様不二子はんと出会ってほんまによかったわ、

心から有難いし、ぼく様は幸せや。ほんまにありがとう」 

目が点の不二子はん。

フォークが空中で止まっている。

へー

「びっくりしたで、そんな事よしろうはん初めていうさかい

、、酔っぱらったやろ?(笑)」 

「(笑)そや、酔っぱらった。ほんまの事を言うただけや」 

グラス片手に微笑み、天井を見上げるよしろうはん。

やっぱりや、不二子の陰の様な形が光の反射で天井に見える。。 

 

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