第4章 登場人物の注釈 307話
登場人物の設定は、昔から存在していた。 個々について細かな説明はしないが、不二子はんとよしろうはん、一廉の奥方様の設定だけは、ここに記しておく。 よしろうはん 実は、私ではない。 物語を書くとき、脳内にリアルな人物が現れ、その会話をそのまま書き留める──そんな方法をとっている。 よしろうはんは、かつて世話になった長距離トラック運転手だ。 勘が鈍ったという理由で清掃員に転じた。 通勤にはBMWのオープンカー。髪型はソフトモヒカン。 年齢はおそらく、僕より十歳ほど上。 長身でセンスがよく、女性に優しい。 社内ですぐに噂が立つほどのモテぶりだった。 しかし、その身の上を聞くと、壮絶な人生を歩んできたことが分かる。 それゆえ彼は、「笑うこと」を常に心がけていた。 不二子はん こちらは、僕そのものだ。 不二子もまた脳内に現れ、僕は間違いのないよう、その言葉を書き記す。 経歴は事実だが、どのような人物かは想像による部分が大きい。 つまり、不二子の言葉は、私の言葉でもある。 一廉の奥方様 1000年前の姫 眠り姫 理想的女性像 この物語は、千話まで続く。 結局のところ、 自分自身の「証」を記しているに過ぎない。 ただ、それだけの物語だ。