近景見聞録 その壱
薪を集め火をつけ暖をとる。
ウイスキーに氷を入れロックで頂く。
夕刻の時間。
野宿なら冬がいい。
鬱陶しい蚊や飛んでくる虫も居ない。
火を見て想いを巡らす。
まるで瞑想してるかの様。
朝になってもこの景色は変わらない。
私の想いなどこの焚火の炎ごとく消える。
それでいい。
車のラジオの周波数を76.1に合わせる。
この時期の音楽が流れる。
そう言えばもう明日はクリスマスイブ。
時がゆっくりと過ぎる。
深夜の2時30分を回る。
思うのは現実的なこと。
悦に入るのも束の間だった。
コロナ禍とはいえ、もう車中泊する歳でもないな。
そう思う。
ただ。眺めだけはいい。
月や星がよく見える。
そう思う。
ただ。眺めだけはいい。
月や星がよく見える。
旅と言うより日常でもあった。
上益城郡の山里を訪ねる。
甲佐での古田パン屋さんとの出会いが嬉しかった。
いつの日か私のファッロやカムット小麦をパンにしてくれるだろう。
旅か、動けば世界は広がる。
日常を旅すれば私の憂鬱も少しは晴れるのかもしれない。