カラスへの恩返し

私はカラスに助けられた。
1973年11月、熊本県の大洋デパート火災の当日の朝、私たち一家は畑にいた。
その日は昼から大洋デパートに行く予定だった。
畑に立つ私たちに暗雲が立ち込めた。

見れば頭上にカラスの大群が渦巻いていた。
数千か数万かの数。
昔はそれくらい当たり前にいた。

父が言う。
不吉だな。
今日は出かけるのを止めるばい。

その日の午後に火災が起きた。

中学になりコンラート ローレンツ博士の動物行動学入門が愛読書となった。
カラスのくだりがある。
師はカラス語を解読していた。
私も真似たが。まだわからない。

カラスには愛情がある。

ツガイのカラスが私の田んぼにいる。
オスだろうか、メスだろうか、私が生ごみを田んぼにやると近寄ってくる。
ある日。
そうすると、一羽のカラスが来て食べもせずに見ている。
そして飛び立ち、連れのカラスを呼んだ。
しばらくして。一緒に食べた。
献立はアジの骨と鶏肉だ。

説明はつかないが。
因果応酬でもないし。

、、、、。

そうなんだ。

虫の音レベルで人は福を積むと叶えられないものはない。
そう思うよ。

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