虫豸帖

 「虫豸帖(ちゅうちじょう)」は、江戸時代後期に伊勢国長島藩の藩主であった増山雪斎(ましやませっさい)が描いた、
小型の生物を写生した博物学的な画帖です。 
主な特徴は以下の通りです。

    作者: 増山雪斎は本業が大名でありながら、優れた花鳥画の才能を持っていました。
    内容: 蝶やトンボ、カメムシといった小さな虫を中心に、甲羅の模様や透き通った羽まで驚くほど精緻に描かれています。
    制作背景: 江戸時代には、動植物を精密に記録する「博物図譜」の編集が盛んに行われており、雪斎の『虫豸帖』もそのひとつです。
    雪斎の虫への愛: 雪斎は、写生のために殺した虫の死骸を大切に保管し、「わが友である」と語っていたと伝えられています。
    虫塚: 雪斎の死後、友人たちが彼の墓がある寺院に、虫の供養のための「虫塚」を建てました。この虫塚は現在、東京国立博物館の隣にある寛永寺に移設されています。
    所蔵: 東京国立博物館などが所蔵しており、文化財として登録されています。 


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