本の紹介
エコロジーを環境問題だけでとらえない活動を示した、フランスの哲学者・精神分析家・政治活動家
私は未だこの本を読んでいないが、講義で紹介してくれた折、これは本を買って読まなきゃな。。と直感した。よし、買ってみよう。
三つのエコロジー (平凡社ライブラリー) 文庫 – 2008/9/10 フェリックス ガタリ (著), F´elix Guattari
三つのエコロジーとは
ガタリは、エコロジーを環境問題だけでなく、より広範な視点から捉え、三つの領域を提唱しました:
1. 環境のエコロジー(自然環境)
- 従来の環境保護運動が焦点を当ててきた領域
- 自然環境の破壊、汚染、生態系の危機
2. 社会のエコロジー(社会関係)
- 人間関係、コミュニティ、社会制度の領域
- 都市化、労働、集団性の問題
- 社会的な連帯と結びつきの再構築
3. 精神のエコロジー(主体性)
- 個人の内面、主観性、心理的な領域
- メディアや消費社会による主体性の均質化への抵抗
- 個人の特異性と創造性の回復
核心的な主張
ガタリは、これら三つの領域は相互に関連しており、統合的なアプローチ(エコゾフィー)が必要だと主張しました。環境危機は単なる技術的問題ではなく、私たちの生き方、関係性、精神性全体に関わる危機であるという認識です。
この思想は、現代のエコロジー運動、ポストヒューマニズム、精神保健の分野などに大きな影響を与えています。
F´elix Guattari
フェリックス・ガタリ(1930-1992)は、フランスの哲学者・精神分析家・政治活動家です。
最も知られていること
哲学者ジル・ドゥルーズとの共同研究で有名です。二人で『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』などの革新的な哲学書を執筆しました。
主な活動
精神分析の実践
- ラ・ボルド診療所で精神分析家として働く
- 従来の精神分析を批判し、より政治的・社会的なアプローチを追求
政治活動
- 急進的左翼の活動家
- エコロジー運動、反精神医学運動に参加
代表的な思想
- 三つのエコロジー:環境・社会・精神の三領域の統合的理解
- 欲望する機械:欲望を抑圧されるものではなく、生産的な力として捉える
- リゾーム:階層的でない、多方向的なネットワーク構造
ガタリは、哲学と実践を結びつけ、既存の権威や固定された構造を批判し続けた思想家です。

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