消えゆく、

車で中山間地を走ると棚田の消滅は当たり前の風景になってしまった。
田畑だけではない。今日出逢った70年前の機械で当時のままの製法を営む製麺所も廃業するのはそう遠くはない事だ。
製法の話を聞けばやはり機械と言えど現在の様なオートメーションされたものではなく、捏ねる、圧をかける、切る、伸ばすという事だけをするものでその工程事に手間暇のかかるものだ。一人で出来る作業ではなく最低3人は必要だという。それでも最新式より美味しいというお客さんがいるから使っていると答えられた。
「天草で製麺をやってるのはもう一軒じゃないかな。この島は川が無くてね、その上湿地だから米も麦も良く出来なかったので原料を他所から買って加工してっていう生活だったよ。昔はお金のやり取りでは無くて物々交換みたいなものだった。そうやって生きてきたんだよ。だから製麺所は他にも何件もあったが、今では私ん所だけたい。跡継ぎも亡くなって私もこの体だから何時まで出来るかは分からんな。」
 
久しく山から海へ向かい、島をめぐって海から山へ戻った。
私自身が変化したのだろうか。何度も通った不知火や有明海なのに撮っていないポイントがいくつも見える。
陰に反応する私は消えゆくものに興味を抱く。
ARIAKE SEAシリーズを再編する必要があるな。

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