万次郎を食す

成熟した今年の万次郎かぼちゃを妻がチーズ焼きにして食卓へ出してくれた。
加熱して食卓に並んだ万次郎を食べると甘さが乗って美味いのだ。
万次郎はこんなに美味しかったのか?
熟れ具合を確かめるために収穫して3日ほどのもの。
その時はスライスして生で食べたが、こんなものだろうの印象。
糖度でいうならポアロという同じ圃場に植えている品種が甘い。
しかしシェフはいつも万次郎を選ぶ。
ポアロは果実がしっかりしていて硬い。カボチャスープ向きだ。
万次郎も甘いが、果実が柔らかく少し細胞間の隙間があるのか、味が染み込みやすい。
おそらくその理由でシェフは万次郎を選ぶのだろう。
今年の万次郎は甘いだけでなく、癖もなく、エグ味もない。
無農薬有機栽培で肥料を指定の半分以下でつくり、爆発的な実のなり方を抑え、一般的なかぼちゃのように育てた。
万次郎は熊本県では我々の責任だろうが一般的な評価は不味いとなっている。
なぜそうなるかは簡単な仕組みで、買取業者が重さで金額を決めているからだ。
そうすると農家は大きな果実を作る方へシフトする。
考えられないくらい大量の肥料を入れ、窒素過多のまるまるとしたかぼちゃを作る。
その方が収益が高いのはもちろんだが、そのような野菜は万次郎だけでなく何であろうと不味い。
肥料を適正にすれば万次郎は不味いかぼちゃではなく、美味しい作物になる。
そう確信した。
収量はとても少なくなるので単価を上げないと利益は出ない。
販売先を開拓する必要がありそうだ。

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