第12章 わかれなさい。 607話

と或る日の夕刻。

 

「上手に振る舞う男ほど、始末が悪い」

よしろうはんが言う。

「恋人も、伴侶も同じや。女の願いを聞いてる顔して、一つも叶えへん。そんな男とは別れたほうがええ」

不二子はんは笑った。

「別れるかどうかは知らん」

一拍おいて、続ける。

「せやけど、叶える気もない男は、よう働く。言い訳だけは」

よしろうはんは吹き出す。

「そこまで言うか」

「事実やろ」

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