第8章 ぼく様の宇宙が自転始める 472話

ぼく様を見守る三人の女性。
不二子はん、モディリアーニの描いたルネ、そして一廉の奥方様。

笑顔だったり怒ったりと、日々表情は変わる。
大抵は静かな目だ。

不二子はん曰く、
「よしろうはんはいろんなことしてはるように見えて、全部おなじどすな」

ん?
「さすがやな。そうやで」

この三人の中で、唯一怒らないのはルネであった。
その代わり、凄く冷たい氷のような表情が特徴だ。



「ぼく様の宇宙は、やっと動き出したで」

不二子はん曰く、


へー
「ずっと前から動いてはったんや。やっと日の目を浴びてきたんすえ。よろしいことや」

「大学院というのが助かってるわ。理論を言葉にできるのが、こんなに楽しいとは思わんかった。しかも伊藤俊治はんに直で教わってるんやで。日本屈指の写真評論家で東京芸大名誉教授やで。あの人の眼で見てもらえるというのは、ちょっとしたことやないで」

「それはええことや。東京芸大の先端芸術表現科の教授も、この前授業に来てはったの見ましたえ」

「あれか? 鈴木理策はんか、、ぼちぼちやな。そんなんええねん」

「ぼく様が軌道に乗り出した理由は、これが大きい」

よしろうはんの宇宙がやっとこさ動きましたえ。
不二子はんは笑顔で、よしろうの眼を真っ直ぐ見つめていた。

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