第9章 戸惑い 484話
戸惑うよしろうはん。
先の長さが増えたのう。とひとりで考えていた。
大学院留年は思いの他堪えたのだろうか。
専門課程はトップで高評価であったのにひとつの必須を取っていなかった。
たった1単位だ。
辞めようかと思うたが学費の返金は出来ないという。
普段こんな時でも強気な発言をしてるが、内心はこらえてるのだろうか。
「よしろうはん。考え過ぎはようない。こんな時は作品つくって田んぼ増やして、論文強化すればええ」
ん?
「そうやな。不二子。君には感謝してるで」
まだ夜も明けぬ朝。
井出を流れる水音だけが響いていた。