# ブランド米をやめる。田んぼに多様性を取り戻す。 ## CASA BLANCA、米づくりの次の段階へ

 # ブランド米をやめる。田んぼに多様性を取り戻す。

## CASA BLANCA、米づくりの次の段階へ


今年の米は、収量が低かった。

しかし、味はこれまでで一番よかった。

噛んだあとから、じわりと甘みがやってくる。いやみがない。炊き上がった米は光り、食感はべちゃつかない。

米というのは、こんな味がするものだったのか。

今年の収穫は、そんなことを考えさせてくれた。

CASA BLANCAでは、自家採種を10年続けてきたニコマルを中心に、複数の品種を同じ圃場で育てている。ただし、これは単に余った種を混ぜたものではない。

僕が目指しているのは、特定のブランド米を毎年均一に生産することではなく、複数の品種から構成される米を、自分の圃場で作り出すことだ。

## 単一品種でなければならないのか

現在の米づくりでは、品種の純粋性と均一性が重視される。

ブランド米は、品種名そのものが品質の保証となり、消費者に選ばれる。しかし、圃場全体を一つの品種で揃えるという生産のあり方は、病害虫への対応や栽培管理の面で、農薬への依存を強める一因にもなり得る。

もちろん、単一品種であれば必ず農薬が必要になるわけではない。だが、同じ遺伝的性質を持つ稲が広い面積を占めれば、その品種が弱い病害虫に対して、圃場全体が同じように影響を受ける可能性がある。

ならば、田んぼの中に異なる性質を持つ稲が共存していたらどうなるだろう。

草丈、出穂期、茎の強さ、病害虫への抵抗性。異なる性質を持つ品種が同じ圃場に存在することは、稲作のあり方を考え直す一つの手がかりになる。

## 江戸時代の米づくりから考える

僕が関心を持ったのは、農薬が存在しなかった時代の稲作だ。

江戸時代の稲作では、種を自家採種でつなぐのが普通であり、稲は現代の品種ほど固定されていなかったと考えられる。

そのため、同じ田の中に性質の異なる稲が混ざって育っていたと推測される。

現代のように圃場を単一品種で統一するのが当たり前ではなかった時代の田んぼのあり方は、品種の多様性と稲の生育、病害虫への対応を考えるうえで興味深い。

ただし、これは推測であり、昔の稲作がすべて混生だったと言えるわけではない。

多品種であれば農薬が不要になると単純に結論づけることもできない。

それでも、近代の米づくりを唯一の正解と考えず、過去の農業が持っていた多様性に目を向ける価値はある。

僕は、その可能性を自分の圃場で確かめたい。

## もう、ニコマルだけの米ではない

自家採種を10年続けてきたニコマルは、僕の米づくりの大切な基盤だ。

しかし、目指すものは、もはやニコマルという単一品種の生産ではない。

これまでは、複数の品種を組み合わせながらも、種籾の半分にはニコマルを使ってきた。

しかし、これからは、その考え方をさらに進める。

複数の品種を同じ圃場で育てる混生栽培へと移行し、それを「CASA BLANCA方式」として確立し、広く認知させていきたい。

品種ごとの純粋性を守り、均一な米を生産するのではなく、それぞれ異なる性質を持つ稲が共存する圃場をつくる。

そのため、これから生産する米を、厳密に「ニコマル」と呼ぶことはできない。

品種名は「混合米」となるだろう。

それは、特定の品種の名前を商品価値の中心に置くのではなく、複数の品種が共存することで生まれる米を、そのまま表す名前だ。

僕が作りたいのは、どこかのブランド米の代用品ではない。CASA BLANCAの田んぼから生まれる、固有の米である。

## 混生栽培で、農薬を必要としない道を開く

混生栽培に期待していることの一つが、農業全体の農薬への依存を減らす可能性だ。

異なる性質を持つ稲が共存すれば、特定の病害虫に弱い品種だけが圃場全体を占める状態とは異なる環境が生まれる。品種の組み合わせによっては、病害虫の被害が広がりにくくなったり、気象条件の変化に対して圃場全体が一様に影響を受けるリスクを抑えたりできる可能性がある。

もちろん、品種を混生させれば必ず病害虫に強くなるわけではない。効果は品種の組み合わせや栽培環境によって異なるし、混生栽培だけですべての農薬が不要になるとも限らない。

だからこそ、自分の圃場で実践し、観察し、記録していく。

収量、食味、病害虫の発生、生育の違い。そうした結果を積み重ねながら、農薬を必要としない、あるいは使用量を減らせる稲作の可能性を確かめたい。

CASA BLANCA方式は、まだ完成した技術ではない。

これから圃場の中で育て、検証し、形にしていく栽培方式である。

単一品種を育てることが当たり前だった米づくりに、もう一つの選択肢をつくる。

それが、これから僕が取り組む仕事だ。

## この冬、土づくりも変える

今年は収量が低かった。

だからといって、無施肥を続けること自体に意味を求めるつもりはない。

無施肥という条件を守ることが目的ではなく、土を育て、稲を育て、納得できる米をつくることが目的だからだ。

この冬から、大根を植えて土を深く掘り、菜の花も育てて緑肥として活用する計画だ。

植物を育て、その植物を土に還す。

大根の根によって土壌の構造を改善し、菜の花を緑肥として利用することで、有機物を供給しながら、田んぼの環境を少しずつ整えていく。

動物性肥料は使わない。

農業資材の由来にも目を向け、外来植物の種子などを圃場に持ち込むリスクにも注意する。何を使うかだけでなく、何を持ち込まないかも、環境保全の一部だと考えている。

緑肥による土づくりと、多品種の混生栽培。

この二つを組み合わせながら、収量と食味、そして圃場の生物多様性をどう両立させられるか。これから実際に試し、観察し、記録していく。

農薬を使わないことは当然だ。だが皆にも伝えたい。

単一品種を育てることを、当たり前とも思わない。

田んぼにどんな稲が育ち、どんな土ができ、どんな米が生まれるのか。

その答えは、カタログの中ではなく、自分の圃場で確かめる。

## CASA BLANCA方式という選択

ブランド米をやめることは、米の価値を下げることではない。

品種名だけで米を評価するのではなく、どのような環境で、どのような稲を育て、どのような考え方で米を生産したのか。その過程そのものを価値にしていくことだ。

多様な品種が共存する田んぼ。植物を土に還す循環。外部から持ち込む資材を慎重に選び、農薬への依存を減らす試み。

それらを一つの栽培思想としてまとめ、CASA BLANCA方式として育てていく。

今年、収量は低かった。しかし、味はこれまでで一番よかった。

この結果を出発点に、僕は米づくりの方向を変えていく。

農薬を必要としない、あるいは使用量を減らせる道が、本当に開けるのか。

収量を改善しながら、今年の食味を維持できるのか。

答えは、まだ出ていない。

だからこそ、やってみる価値がある。

CASA BLANCAの米づくりは、これから新しい段階に入る。

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