中干の本当の理由はブンケツ数の予定した確保で収穫量を安定する事。干して整理障害を人工的に誘発して生殖成長に切り替える事だ。
ご指摘ありがとうございます!「中干しの本当の理由は分げつ数の予定した確保で収穫量を安定させること、そして乾燥ストレスを人工的に誘発して生殖成長に切り替えること」というご意見は、非常に的確で農業技術の観点から重要なポイントを突いています。ご指摘を受けて、前の回答がこの核心的な目的を十分に強調できていなかったことを反省し、以下に中干しの本当の理由を中心に、わかりやすく整理して説明します。また、稲が抽水植物である点や中干しをしない栽培の成功例も考慮に入れ、バランスの取れた回答を提供します。中干しの本当の理由:分げつ数の確保と生殖成長への切り替え
- 分げつ数の予定した確保と収穫量の安定:
- 目的:稲の分げつ(茎の分枝)は、穂の数に直結し、収穫量を左右します。しかし、過剰な分げつは栄養の分散や倒伏リスクを高め、逆に不足すると穂数が減り収量が低下します。中干しは、分げつを適切な数(例:1株あたり20~25本、品種や植密度による)に抑えることで、収穫量を安定させる重要な管理技術です。
- メカニズム:中干しで土壌を乾燥させると、稲は水分不足のストレスを感じ、分げつ(栄養成長)が抑制されます。これにより、余分な分げつ(「無効分げつ」)を防ぎ、穂の形成に必要な栄養を効果的に分配できます。
- 具体例:農林水産省のガイドラインや農業試験場の研究では、最大分げつ期(田植え後30~40日、茎数が目標の7~8割に達した時期)に中干しを行うと、有効分げつ率が向上し、収量が安定することが報告されています。たとえば、コシヒカリの場合、1㎡あたり300~350本の茎数を目標に調整することが一般的です。
- 乾燥ストレスによる生殖成長への切り替え:
- 目的:中干しは、稲の成長ステージを栄養成長(葉や茎の成長)から生殖成長(穂や種子の形成)にスムーズに移行させる役割を持ちます。乾燥ストレスを人工的に与えることで、稲に「環境が厳しくなった」と認識させ、穂形成(幼穂形成期)に向けた生理的変化を促します。
- メカニズム:
- 中干しによる水分ストレスは、稲の体内でエチレンやアブシジン酸などの植物ホルモンの生成を誘発し、栄養成長を抑制しつつ生殖成長を促進します。
- これにより、穂の数が確保され、籾(もみ)の充実度が向上し、結果的に収量と品質が安定します。
- タイミングの重要性:中干しは分げつ期後半(最大分げつ期)に行うのが最適で、遅すぎると(例:幼穂形成期に入る出穂25~30日前)水分不足が穂の発育を阻害し、収量低下を招くリスクがあります。
- 抽水植物としての稲の特性:ご指摘の通り、稲は通気組織(エアレンキマ)を持ち、湛水状態でも酸素を根に供給して呼吸できるため、中干しなしでも生育可能です。実際に、中干しを省略して収穫に成功している事例は、適切な水管理(例:水の入れ替えで還元状態を防ぐ)や土壌条件(排水性の良い土壌)、品種の選択(耐湿性の高い品種)によるものです。
- 中干しの必要性:しかし、中干しの主目的は、根の酸素供給や病害予防よりも、ご指摘のように「分げつ数の制御」と「生殖成長への切り替え」にあります。特に、以下のような場合に中干しが効果的です:
- 高収量を目指す場合:商業栽培では、収量を最大化するため、分げつ数を厳密に管理する必要がある。
- 倒伏リスクの高い品種:コシヒカリなど倒伏しやすい品種では、過剰分げつを抑える中干しが有効。
- 土壌や気候の制約:重粘土質や有機物が多い土壌では、還元状態による無効分げつが増えやすく、中干しで調整が必要。
- 中干しなしでの成功:あなたが中干しせずに収穫に成功しているのは、以下のような要因が考えられます:
- 水管理:定期的な水の入れ替えで土壌の還元状態を防ぎ、無効分げつを自然に抑制。
- 品種:分げつが過剰になりにくい品種や、地域に適した品種の選択。
- 植密度や肥料管理:適切な株間や肥料量で分げつを調整し、中干しなしでも目標の茎数を確保。
- 地域の環境:降雨量や土壌の排水性が良く、ストレスが少ない環境。
- 限界:中干しを省略する場合、以下のようなリスクが考えられます:
- 分げつ過多による倒伏や、栄養が分散して籾の充実度が低下。
- 土壌が還元状態になりやすい場合(例:重粘土質)、根傷みや病害リスクが増加。
- 高収量や安定した品質を求める商業栽培では、収量のバラつきが出る可能性。
- 時期:最大分げつ期(田植え後30~40日、茎数が目標の7~8割に達した時期)。一般的に6月下旬~7月上旬(中部地方のコシヒカリを例に)。
- 指標:
- 茎数が1株あたり20~25本(品種や植密度による)。
- 葉色が濃すぎる(窒素過多)場合、中干しで生育を抑える。
- 期間:5~7日程度、土壌表面に小さなひび割れが生じる程度。強めの中干し(10日以上)は分げつ抑制効果が高いが、根傷みのリスクに注意。
- 地域差:
- 九州:5月下旬~6月中旬。
- 東北:7月上旬~中旬。
- 梅雨の時期や土壌の排水性に応じて調整。
- 中干しの本当の理由:ご指摘の通り、中干しの主目的は「分げつ数の予定した確保による収穫量の安定」と「乾燥ストレスによる生殖成長への切り替え」です。これにより、有効分げつを確保し、穂の形成と籾の充実を促し、収量と品質を安定させます。
- 稲が抽水植物である点:稲の通気組織により中干しなしでも生育可能ですが、高収量や安定生産を目指す場合、中干しは分げつ制御と成長ステージの切り替えに有効な手段です。
- 中干し不要のケース:あなたの実体験のように、適切な水管理、品種選択、土壌条件が整えば、中干しなしでも収穫は可能です。ただし、商業栽培や特定の環境では中干しが収量安定に寄与します。