稲は土中のメタンガスを体内で放出する。
ご指摘ありがとうございます。確かに、稲は抽水植物として土壌中のメタンガスを体内(通気組織)を通じて大気中に放出する特性を持っています。この点と、前のご質問で述べられた「中干しの本当の理由は分げつ数の確保と生殖成長への切り替え」および「中干しをしないでも収穫してきた」という実体験を踏まえ、稲のメタンガス放出と中干しの関係について、正確かつ簡潔に説明します。また、中干しの目的(分げつ制御と生殖成長への切り替え)との関連も考慮します。稲が土中のメタンガスを体内で放出する仕組み
- メカニズム:
- 稲は通気組織(エアレンキマ)を持ち、葉や茎から酸素を根に運び、根から二酸化炭素やメタンなどのガスを大気中に放出します。これは、稲が水田の湛水環境で生き延びるための適応で、特にメタンガス(CH₄)は土壌中の嫌気性細菌による有機物の分解で発生し、稲の通気組織を通じて効率的に大気へ排出されます。
- 研究によると、稲作におけるメタン排出の約60~90%は稲の通気組織を介して行われ、土壌表面からの直接拡散は少ないです(例:農林水産省やIPCCの報告)。
- メタンガスの発生と稲の役割:
- 水田は湛水状態により土壌が還元環境になり、メタン生成菌が活性化してメタンガスが発生します。稲はこれを「パイプ役」として吸収し、茎や葉から放出します。
- この特性は、稲が抽水植物として酸素を根に供給しつつ、土壌中のガスを調節する機能の一部です。
- 中干しによるメタンガス抑制:
- 中干しは土壌を一時的に乾燥させ、酸素を供給することで土壌の還元状態を緩和します。これにより、メタン生成菌の活動が抑制され、メタンガスの発生が減少します(例:長期中干しでメタン排出量が20~30%削減されるという研究データあり)。
- ただし、ご指摘のように中干しの主目的は「分げつ数の制御」と「生殖成長への切り替え」です。メタンガス抑制は、環境保全型農業や温暖化対策の文脈で注目される副次的な効果と言えます。
- 中干し不要の場合とメタンガス:
- あなたが中干しせずに収穫に成功している場合、土壌中のメタンガスは稲の通気組織を通じて放出されているものの、収量や品質に悪影響が出ていないと考えられます。これは以下のような要因が考えられます:
- 水管理:定期的な水の入れ替えで新鮮な水を供給し、過剰な還元状態を防いでいる。
- 土壌条件:排水性の良い土壌(例:砂質土)では、メタン生成が抑えられ、稲への影響が少ない。
- 品種特性:メタン放出量が少ない品種や、還元環境に強い品種を使用。
- 中干しを省略してもメタンガスが稲を通じて放出されるため、環境への影響(温室効果ガスの排出)はある程度避けられませんが、収穫に支障がない場合、中干しの必要性は低いと言えます。
- あなたが中干しせずに収穫に成功している場合、土壌中のメタンガスは稲の通気組織を通じて放出されているものの、収量や品質に悪影響が出ていないと考えられます。これは以下のような要因が考えられます:
- 分げつ制御と生殖成長:ご指摘の通り、中干しの主要な目的は、乾燥ストレスを人工的に与えることで分げつ(栄養成長)を抑制し、適切な茎数(例:1株あたり20~25本)を確保しつつ、穂形成(生殖成長)に移行させることです。このプロセスは、メタンガス抑制とは直接関係がなく、収量と品質の安定を優先した農業技術です。
- メタンガスとの関連:メタンガスの放出は稲の生理的特性であり、中干しによる土壌の乾燥はメタン発生を抑える効果がありますが、これは主目的ではなく、環境配慮の観点からの追加効果です。あなたが中干しなしで成功している場合、メタンガスの放出が収量に影響を与えていない可能性が高く、中干しの省略が適切な環境で機能していると考えられます。
- 時期:最大分げつ期(田植え後30~40日、茎数が目標の7~8割、例:1㎡あたり300~350本)。日本の中部地方では6月下旬~7月上旬が一般的。
- 期間:5~7日、土壌表面にひび割れが生じる程度。過剰分げつを抑えるため、葉色が濃い(窒素過多)場合に強めに行う。
- 地域差:
- 九州:5月下旬~6月中旬。
- 東北:7月上旬~中旬。
- 土壌や気候(例:梅雨の影響)に応じて調整。
- 稲とメタンガス:稲は抽水植物として、土壌中のメタンガスを通気組織を通じて大気中に放出します。これは稲の生理的特性であり、湛水状態では避けられません。
- 中干しの本当の理由:ご指摘の通り、中干しの主目的は「分げつ数の確保による収穫量の安定」と「乾燥ストレスによる生殖成長への切り替え」です。メタンガス抑制は副次的な効果であり、環境保全の文脈で注目されます。
- 中干し不要のケース:あなたの実体験のように、適切な水管理、土壌条件、品種選択により、中干しなしでも分げつ制御や収量確保が可能。メタンガスの放出は続きますが、収穫に影響がない場合、中干しは不要と考えられます。