螽斯が蟻になる。

いやいや本当にキリギリスであった私が蟻の様に働いている。
写真で巧いと褒められても傲慢からではなく、当たり前だと思っていた。毎日写真だけ考えて撮ってるのだから下手ならそれはもう辞めたがいい。プロフェッショナルは厳しいがそれが当然の世界で要求以上に答えられない者にはお呼びはかからない。アートの世界は自己満でも自称でアーティストと言えるが、プロフェッショナルは商業である。需要と供給があることで成立する。

農業も同じであるが、需要の為に作付けするというより現代は需要をも作り出す農家が増えてきた。さらに作り方にもこだわったり、全く違うアプローチで市場に攻め込んでいる者が生き残る様だ。写真は煮ても焼いても食えないし、無いからと困ることはない。しかし食物は絶対必要なものだ。つまり需要は必ずあるという世界が写真とは全く違う。これは本当に気楽でいい。作れば金になるからだ。ただ、写真と比べて安いので労働時間は圧倒的に長くなる。
 
蟻の様に働いて王様の様に遊ぶという考えは再春館製薬所の会長西川道子さんの口癖だった。数十年前2年間お世話になって働いていたが学ぶことが多かった。しかし私は写真をしたいんですと言って会社を辞めた。
 
現在は写真と農業で暮らす。
写真は広告や雑誌などの商業写真を辞め、作品を作り出版業界に進出する準備をしている。フォトグラファーや写真家という世界を確立する為には現在農業の収益は必要不可欠だ。写真家が作品だけで食えるならもう超一流だろう。私には出来ないことはない。
 
 


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