第二巻 第六章 よしろうはんの消滅 三六九話

冬の寒い朝 

不二子はんが早朝から大慌て。 

「どないした?」

「大変どす。愛しのよしろうはんが置手紙置いて消えはった。」

「どれどれ、手紙を見せてくれ。」

「なになに……。」

「なんてだらしない男だ。」

「僕が怖いから、ぼく様を僕に託します?」

「そんで、よしろうはんは?」

「どこにも見当たらんでぇ。」

ははーん。そういうことか。

これは都合がええ。

物語を書く気になってきたで。

よしろうは消えて、ぼく様を譲渡して、不二子と暮らせってか?

一石二鳥だ。そうしよう。

「不二子はん。」

「もう、よしろうは蒸発したで。」

「これからは僕が、ぼく様になるから、それでええか?」

不二子は、見切りのええ、勘の鋭く、機転の早い女子であった。

「へー。芳朗は顔も形も瓜二つ。性格が違うだけ。」

「よしろうはんが消えたのは、閻魔さまにも確認致したどす。」

「不二子も、そう思てました。

よしろうはんは、あんたの一部の分身。

そやから、死んだわけではない。」

不二子があるのは芳朗のお蔭。忘れてまへん。」

「じゃ、どうする?」

「へー。お好きなように。」

「なら僕が代わって、新しいぼく様と暮らすか。」

「へー。そういたしやす。」

よしろうはんは、
あんたの中に居るんやから……。 

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