第5章 地の呪縛 354話
写真家は、空気や気配を読む仕事でもある。
いろんな土地に行けば、その地の空気を読んでいる。
これもまた、大事な観測術や。
「不二子はん、ここはあんまり良うない気がするわ」
「へー。そうどすか?」
「川沿いには桜が百四十五本もあるらしいで。
春は見事やそうじゃ」
「ああ、それは親父が植えた本数や。
今は、もっとある」
「いこいこ」
……ここは、陰鬱や。
「なんでやの。
うちには、そう見えませんえ」
「ここに住みましょ。よしろうはん」
……もうええて。
五百年も住んだから、飽きたわ。
「そうか。
ほな、また五百年住んだらよろしいやん」
「あ・か・ん・て」
「なんでや?」
「この地の呪縛は、
五百年経っても変わらん」
「のどかで、ええやない?」
「ぼく様が五百年で十七代目。
五百年後には、三十二代目の新川がおる」
「ほう、それで?」
「歴代で、
芳朗がいちばん阿保やったと記される」
「へー。
そうどすがな?」
……なにか?
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