第10章 10日目 510話

「不二子はん、どこいっとったんや?」

へー

「うちにもわからへん。気づいたら知らない土地を歩いてましてん」

「ほう。どこやろうな」

「わからへん。海やった。美しい海。青い海」

「でも半分も憶えてへんわ。」

「よしろうはん?」

ん?

「海行かへんか……有明の海へ」

「よし。行こか」

へー

軽トラで二人して有明の海をドライブした。

鬼池港から通詞島へ渡り海を眺めた。

そして長崎の口之津へ渡り、島原、諫早、小長井、太良、佐賀へと車を走らせる。

延々と続く干潟の風景。

光り輝く土泥と海と太陽。

教会と漁港。

抜けきった太陽の光がここでもシアン帯びた色で見える。

ふたりはこの時間帯を走った。

永遠に変わりそうもないこんな浜辺でふたりは同時に呼吸していた。

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