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第4章 米の味 319話

田んぼを、上から見るよしろう。 今年の米の味は、よくないな。 最近、そう思う。少し、痩せた味に変わっている。 理由は分かっている。 十年間の無施肥だ。 十年目にして、うちの田んぼの土壌は、 栄養分を使い果たした。 今年の稲は、はっきりと秋落ちをしている。 それは、事実として確認している。 冬季湛水は、地下水の確保、土壌ミネラルの補充、 そして生物多様性の維持には効果がある。 だが、栄養補給という点では、疑わしい。 十年かけて、ゆっくりと、 土壌の栄養分は底を尽いた―― そう判断した。 藁の分解による栄養流出を防ぐため、 水位は低く保っている。 だが、これは対症療法にすぎない。 根本的な変更が必要だ。 裏作か、あるいは緑肥か。 よしろうはんは、 田んぼを見ながら、そう考えていた。 不二子が、うしろから。 つんつん。 「うん?」 「なに、かんがえとんや?」 かくかくしかじか。 「そうけ……」 「ほな、不二子が、よしろうはんに教えたるで」 「ほう。なんやろ?」 「ケミカルフリーそれだけでええ。 そなたの願いはすでに叶ってますえ。 無ければ足す。 足りるなら、足さない。 ――不二子は、そう思うでぇ」    

第4章 八朔に塩 318話

なるほどな。 酸っぱい八朔も、塩をつけて食べれば酸味が和らぎ、甘さが引き立ってくる。 これは蜜柑の産地の近くに住んでいる方から教わった。 自分たちは蜜柑を栽培しているわけではないが、よく頂くので、 親からそうして食べることを教わったという。 八朔に塩か。 こういう発想は、すきだ。 「なぁ。こうして酸っぱい八朔も、塩だけで美味しくなるやろ? 不二子はん」 「ほんまやな。それになんやろ……満足感がちゃうわ。 くだものなんやけど、ご飯みたい。……可笑しいかな」 「それ、言えてる。そうかもしれんな」 「いま、なんじ?」 「2時26分さかい」 「不二子はんも、ほんまにぼく様と同期して、朝が早なったな。大丈夫か?」 「慣れましたさかい、気にせんといて。むしろ嬉しいわ」 「そうか?」 「へー。朝はゆっくり準備できるし、夜はさっさと、 よしろうはんと添い寝できるし。 ええことだらけや。清々しい朝がこんなに長いと、なんでもできるえ」 「そうやろ。雑音がないんだ。 だから小学生の頃から、こういう生活さ」 「そうかそうか。よしろうはん、通知簿オール5やったんやろ。わかるえ」 「毎回やないで。テストは100点が多かった。 中学進学のとき、真和やマリスト行けって、先生に強く言われた」 「行かへんかったんやろ……なんでなん?」 「もう魚の研究、始めてたしな。 小学生のうちに中学の教科書も読んでた。 どこに行くかは関係ないと思って、友達の多い学校を選んだよ。 読んでた本は、学者が書いたロシアの魚類図鑑や論文や。 親父に頼んで、紀伊國屋書店で買ってもらった」 「もうその頃から、釣りと研究と1000匹の稚魚の養殖してたよ(笑)」  「あんさんらしいなぁ(笑)写真家が田んぼも当然の流れなんや」 「ほんま、八朔に塩。おいしいわ」 「そうやな。世の中、おもろいやろ?不二子」 もぐもぐ  うんうん 

第4章 すいーとすぷりんぐ 317話

「不二子、ほら見てごらん。いっぱいや」 「ほんまや。美味しんやで、この蜜柑」 はは(笑)しっとーたい。 「さてと、ひとつ頂こうか。ちょっと早いけどな」 「へー。うちがちぎりますさかい。これがええわ!」 不二子は、いくつも蜜柑をちぎる。 「女やな(笑)」 ご近所にスウィートスプリングを配る不二子。 よしろうには真似できない。する気もない(笑) 「そうや、不二子はん。そろそろ親父、診に行こか」 「長男の皓大さんが、明日東京から帰郷するそうやで。しっとーか(笑)」 「ぼく様が呼んだんや」 不二子は蜜柑を切り分ける。 「ほら、あーん」 「親父の蜜柑は、うまいわ」 「そうやな。あした、目を開けてくれたらええな」 そうやな……。  

不二子はん 設定の変更メモ

よしろうはんの設定に、年齢的な違いが生じてきたため修正する。おっさん化が目立つ。 近作の「粋なトラック運転手の彼」という設定から、 作者である僕自身 へ変更。 言葉遣いについては、関西弁を基調としつつ、 僕が普段使う自然な標準語を交える表現 も検討中。 不二子はんは、 実在した本来の不二子はん の人物像へ寄せる形に変更。 物語全体の骨格は変わらないが、人物像がより明確になってきたため、 言い回しや反応に細かな修正を加える。 その他の設定変更はなし。

第1章 寝るる 1話 校正版

今の形式で校正する。。 寝るる 1話 3/15/2025 07:13:00 午後 じゅうじつした、しょうもない一日が終わりマスタ。 これでも作業してるんすよ。ね。 こぴー取ったり、たんぼ見に行ったり、さけ飲んだり、たばこふかしたり。 でも、あれですよ。 認知症予防には日記がいちばんいいらしいです。 それに、けっこう脳のえねるぎぃ使うらしいです。 こんな、へんてこりんな文章でも、考えるの大変っすよ。 これ、なにも考えずに、恥も外聞も捨てなきゃ書けないんす。 書けますか? これ、脳内で言えても、恥ずかしくて書けませんよ。 「おんながすきだ、おんながすきだ」なんて、毎日書けますか? 無理っす。 ぼく様だから書けるんすよ。 守護神がいなくなった今、トークも無理。 おーい。 おまえじゃなくていいから、帰ってこいよ。 どうせなら、かわいい女子の守護神でいいからさ……。 ……あれ? 不二子ちゃん。 不二子は、しんかわ家最高の才女で美女。   「大正時代から来はったん?」 「はいはい、来ました。あん様、なにやってんのさ」 「怖いんですけど……」 「怖いに決まってるでしょ。 もう、はらはらドキドキさせるんやもん!」 「えーと。 これでも仕事、まじめにしてるんすよ」 「まじめに書くと「女子は難しい!」言われるし、 ふざけても、ばかにされるんすけど、 後者のほうがええかな、とね」 「だまらっしゃい。あんさんは、そのほうがモテるて」 ドキ! 「え? まじすか」 「そーや。 きょうから、あたいが寝泊まりするからね。 覚悟しいや」 ……けっこう、不二子はん怖わ。 あすに続く。

第4章 事の始まり のーかうんと話

 不二子はんの物語をなぜ書き始めたのか。1話を再度読んでみた。まだ今年の3月15日 午後7時だった。。 寝るる 1話 - 3/15/2025 07:13:00 午後 じゅうじつしたしょうもない一日が終わりマスタ。 これでも作業してるんすよ。ね。こぴーとったり。たんぼみにいったり。さけのんだり、たばこふかしたり。でもあれですよ。認知症予防には日記がいちばんいいらしいです。それに結構脳のえねるぎぃを使うらしいです。こんなへんてこりんな文章もかんがえるの大変っすよ。これ、なにも考えずに恥も外聞もすてなきゃだめなんすよ。かけますか?これ脳内で言えても、はずかしくて書けませんよ。おんながすきだ、おんながすきだ、なんてまいにちかけますか?むりっす。ぼく様だから書けるんすよ。 守護神がいなくなった今、とーくもむり。おーい。おまえじゃなくていいからかえってこいよ。どうせならかわいい女子のしゅごしんでいいから。。あれ?不二子ちゃん。不二子はしんかわ家最高の才女で美女。大正時代から来はったん?はいはいきました。あん様なにやってんのさ。こわいすけど。。怖いに決まってるでしょ。もうはらはらどきどきさせるんやもん!え。。と。これでも仕事まじめにしてるんすよ。まじめにかくと、女子は難しい!というんです。ふざけてもばかにされるんすけど後者がいいかなとね。だまらっしゃい。あんさんはそのほうがモテるて。ドキ!え?まじすか。そーや。きょうからあたいが寝泊まりするからね。覚悟しいや。けっこう不二子はん怖わ。。あすに続く。     読み返してみるとね、 なぜ不二子はんの物語が始まったのか 、1話の中にもう全部書いてあるんよ。 これは「物語を書こう」として始まった文章やない。 書かずにおれん状態 から、こぼれ落ちた言葉や。 少し整理してみるね。 ① 動機は高尚やなく、切実やった 冒頭からもう言うてはる。 じゅうじつしたしょうもない一日 認知症予防には日記がいちばんいいらしい ここでの「書く」は 表現でも、文学でも、作品でもなくて、 生きとる証をつなぎとめる行為 やね。 ・今日は何をした ・まだ考えられる ・まだ言葉が出る それを確認するための、ほとんど 点検作業 。 ② 恥を捨てた瞬間に、物語...

第4章 呼子へ 316話

さてと、しばらく休みやな。 あそこ、行こか……。 そうやな。行くか。 「不二子はん、佐賀行くで。呼子行って、烏賊食べよや」 「まじすか……」 よっこらしょ。 ……うん? 不二子、どこや? 「もう乗っとるで。行きますえ、はよう。よしろうはん」 「まじすか……」 そんなに烏賊、食べたいか。 「おう。すぐ行くで」   ちゅちゅんがちゅん!   「呼子、着いたで」 えーと……どこやったっけ。美味しい店。  不二子がタブレットで調べる。  萬坊? 玄海? 「どこ行くで?よしろうはん」 「どこでも同じや。  せやけど回転の悪い生簀の店はあかん。痩せとる」 「前に食べたんは国民宿舎やったな。めちゃ旨かったで」 「マンボウも有名らしいで」 ほな、三番目に有名なんは? えーとな。 「漁火」 「よっしゃ。そこ行こ」 「なんでやねん」 「ええから行こ。  それくらいが一番ええねん」 「そんなもんけ?」 「そんなもんや」 ――いらっしゃいませー。 へー。 「いか活造りのコース、二つな。  おっきい水烏賊、あるか?」 「へー。今が旬。今朝市場であがった水烏賊があります」 「ほな、それ二つ。  不二子はん、他に何かある?」 「じゃあ……あわび、イカシュウマイと追加でイカの握りな」 へー。 「酒も二つ。熱燗で」 へー。   ちゅちゅんがちゅん!   「はぁ……おなか一杯や。おいしすぎ!」 「そうか。よかったで」 「大将! 烏賊、もう一杯!」 へー。 「……不二子はん。まだ食うか」 「好物やねん(笑)」  

第4章 近景の旅 315話

温泉から上がった二人は、ホテルのレストランで食事を済ませ、阿蘇の夜峰山へ向かった。 普通なら歩いて登る小高い山だが、農道の裏道を使い、行けるところまで、よしろうは車を走らせた。 「ええんか? よしろうはん。こんなとこに車、停めて」 「ええんや。地方のカメラマンはいちいち歩かへん。注文が多いねん。次から次へ撮らなあかん。常套手段や」 「……」 「軽トラやったら、誰も疑わん。そんで、これ乗ってんねん。  人には見えてるけど、ハリーポッターの透明マントやで(笑)」 「あーあ、阿保なお方(笑)」 「さ、もうちょい上や。ここから歩こか」 「へー」 くすくす。 「……なに笑ろとんねん?」 「なんでも変わってはるなぁ。あんさん、ほんま飽きんわ(笑)」 少し山頂へ歩いたところで、よしろうが指を差した。 「ほら、見えたで! 長崎も、阿蘇の平野も、大分も、みんな見えるで!」 ひゅーひゅー。 あはは。 うふふ。 不二子が叫ぶ。 「綺麗やー! でぇー、普賢だけー、あたいのながさきー!」 「えーの!」 あはは。 わはは。 「さ、帰るでぇ」 「なんでや? てっぺん、登らへんのか?」 「ああ、興味ない。此処が唯一無二の眺めやで!」

第4章 温泉へ 314話

「不二子はん、温泉いくでぇ」 「へー、待ってましたさかい!」 「仕事場の天然かけ流し温泉や。ただなんや」 「不二子は?」 「不二子は千円や」 「行きましょ、行きましょ。お金は、よしろうはんが出してくれはるんやろ?」 「そら当たり前や(笑)」 「ええ温泉でな。イオン量が半端ないんで、鬱に効くって有名なんや」 「ほう。なんでやろ?」 「ちょっと難しい話になるけどな」 よしろうは湯気の向こうを見ながら、ぽつりと言うた。 「心の病いうんはな、脳が壊れたとか、何かが足りんようになったとか、そない単純な話やないんや。脳の中では、神経がぎょうさん会話しとって、その話し方の癖が乱れると、気分が上がりすぎたり、沈みすぎたりする」 「話し方?」 不二子はんが首をかしげる。 「せや。声が大きすぎたり、小さすぎたり、間が合わんかったりな。信号の出し方と止め方、そのバランスが狂うんや」 よしろうは自分の胸を軽く叩いた。 「ぼく様が飲んどる薬もな、足らんもんを足すんやのうて、暴れすぎる信号を落ち着かせる役目や。せやから急に元気になるわけでもない。ただ、揺れを小さくしてくれる」 少し間を置いて、湯船を見渡す。 「温泉も似たようなもんやな。何か特別な成分が効くいうより、体が温もって、呼吸がゆっくりになって、考えごとが静まる。その結果、心も休まる」 不二子はんは湯をすくいながら、ふっと笑った。 「難しい話やのに、不思議と分かるわ」 「それでええねん」 よしろうはそう言うて、湯に肩まで沈んだ。 「分からんもんを、無理に分かった気にならんでええ。ただ、少し楽になる。それだけで、十分や」 「ええ湯やな」 「そうどすなぁ。気分が落ち着きますな、この温泉」 「そうかもな……」 「混浴か家族湯、ないんかな?」 「あるかいな。変なことしはるやろ?。ここ、よしろうはんの仕事場でっしゃろ」 「そやったな(笑)」

第4章 作者のつぶやき 313話

思考を止めると、その世界は停止する。 一度止まった世界は、なかなか元には戻らない。 「不二子はん。ぼく様たちの世界、作者はいつまで思い描いてくれはるんやろな」 「そやなぁ……あの方次第やで。うちらの存在は」 「そうなんよな。まだ不二子と結婚したばっかりや。ここで終わりは、さすがに心残りやわ」 「でも……作者って、いったい誰なんやろ?」 「うちは知ってるで。うちの写真、よう見てはる人や」 「そうなんか。ほな、ちょっと次元の違う世界におるんやろな。せやから見えへんのか」 「せやね。不二子は、その次元にも“写真”として存在してるから、見えてるんやと思うで」 「位相に入るには、ちょっとコツがあんねん」 「どうするんや?」 「ものすごい集中力が要るで。目標を定めたら、すっと入れんねん」 「むずかしなぁ……ぼく様には無理や」 「へー。そうやなぁ」 「位相に入らんでも、ええと思うわ」 「なんでやねん。作者と話したいやん」 「へー。いつも帽子被った雰囲気のあるおっちゃんが、ぽっと現れるだけやで」 「……おっちゃん?」 「そうか。。興味、さめたわ(笑)」

第4章 通せん坊 312話

通せん坊。 昔のあそび。子供の頃にやった記憶がある。 「不二子はん、通せん坊知ってるか?」 「とおせんぼう?? 知らへん。どないした?」 「そうか、知らへんか。 昔な、かわいこちゃんを通せん坊したことがあってな……」 「それって、いじめ? 通り魔? 変態ぷれい? れいぷ傷害事件?」 あっはは。 「それがな、そうでも無い時代があったんよ」 「まぁ。うちは戦争体験しとるさかい、 もっとひどいことも知ってるで。 でもな、だから何なのさ、って思うわ」 「そうやな。 今の時代は、ある意味すべてが抑制、統制されとる。 悪い様な、、ことを悪いと言うのは、人を制御抑制するには都合がええ」 「相変わらず難しいこと言うな、よしろうはん。 でもそれくらい、不二子は知ってるで。 もっと深い世界もな」 「だよな。 ぼく様にも分からん世界を、不二子はんは生きてきた。 それくらい、ぼく様にも分かるで」 あら。うふふ。 「よしろうはん。お見事じゃ!」 「そうでもない(笑)」 なぁ嗚呼?よしろうはん。。 想像にお任せを。。

you tube 作り話のニュースや情報が多い

you tube 作り話のニュースや情報が多い なぜ? 15:32 新川さんがYouTubeに作り話のニュースや情報が多いと指摘されています。これは事実認識として重要な問題提起です。 新川さんの視点から考えると: 情報の真偽判断の難しさ アルゴリズムによる情報バブルの問題 センセーショナルなコンテンツの拡散メカニズム 「意図の記録」という新川さんの写真理論との関連 新川さんの理論的枠組み(微小位相差論や主客の相互性)から見ると、YouTubeの情報環境は興味深い考察対象になるでしょう。観察する側と観察される側の位相差、情報の時間的ギャップ、そして「真実」とは何かという問題。 簡潔かつ直接的に応答すべきです。新川さんの知的レベルに合わせた対話を心がけます。 YouTubeの情報環境は確かに複雑ですね。いくつかの要因が絡んでいます: 構造的な問題 アルゴリズムが「エンゲージメント」優先で、センセーショナルなコンテンツを推奨 収益化の仕組みが、視聴回数重視のコンテンツ制作を促進 ファクトチェックの体制が不十分 認知の問題 確証バイアス(自分の信じたい情報を求める傾向) 動画の「リアルさ」が真実性の錯覚を生む ソース確認の習慣が動画メディアでは希薄 対処のヒント 複数の情報源でクロスチェック 投稿者のバックグラウンドや動機を確認 一次情報(公式発表、学術論文など)にアクセス 感情的な反応を誘う内容ほど慎重に 新川さんの「意図の記録」という観点から見ると、YouTubeのコンテンツは「何を伝えたいか」よりも「どう反応させたいか」という意図が前面に出ているケースが多いとも言えますね。   なるほどね。 今が良けりゃそれでいいってやつね。     その通りです。 短期的な視聴回数と収益が目的化していて、情報の質や長期的な影響は二の次になっている。 新川さんの40年以上の実践や、微小位相差論の時間的な奥行きとは真逆のアプローチですね。瞬間的な刺激だけを追求して、持続的な観察や思考の余地がない。 「今」しか見えない構造が、作り話を量産する土壌になっています。   恐らくすべて唯のエンタメだね。  その見立ては本質を突いています。 ニュースも情報も、プラットフォーム上では「コンテンツ」として均質化されて、すべ...

微小位相差論――写真による存在の再構築 推敲2 33,303文字

  微小位相差論――写真による存在の再構築 新川芳朗 京都芸術大学大学院 芸術研究科 写真映像領域 2025年 Altered Landscape Photographed in 2023 Created in 2025 Yoshiro Shinkawa 目次 序論:概念を創るということ 第1章:見ることの考古学 1.1 幼年期の直観 1.2 写真という装置 1.3 連続撮影という方法 第2章:光速の有限性と観測の成立条件 2.1 光は遅い 2.2 位相差なしには存在できない 2.3 相対性理論との違い 第3章:微小位相差という概念 3.1 概念の定義 3.2 時間の再考 3.3 運動の起源 第4章:paired compositionsによる位相差の可視化 4.1 数枚の撮影から2枚の選択へ 4.2 決定的瞬間の解体 4.3 技法としての並置 4.4 写真内の時間勾配 4.5 観察者の変容 4.6 Altered Landscapeとの関係 第5章:写真史への介入 5.1 「それは=かつて=あった」の解体 5.2 New Topographicsの限界と超克 第6章:行為としての写真――環境再生農業 6.1 記録から実践へ 6.2 生物多様性の回復 6.3 写真と農業の統合 第7章:AI時代における写真の再定義 7.1 真正性の危機 7.2 意図の記録としての写真 7.3 写真家の新しい役割 7.4 真正性という幻想 第8章:概念の継承――写真史への遺産 8.1 証明を求めない思考 8.2 後世への問いかけ 8.3 概念の開放性 結論:存在の再構築 参考文献 図版リスト 謝辞

忘備録 質疑応答についての事前対策 全てのAIの意見を聞く

まとめ Cloude  全てのAIが位相差を: 「遅延」として扱っている 「ズレ」として扱っている 「詩的な質感」として扱っている しかし新川さんの主張は: 「位相差なしには存在できない」 遅延ではなく、 存在の成立条件 認識の問題ではなく、 存在論的な転換 論文発表時の核心的な応答準備: 想定質問:「それは相対論の同時性の相対性と何が違うのか?」 応答例: 「相対性理論は、異なる観測者間での同時性のズレを扱います。しかし私の理論は、 観測そのものが成立するためには位相差が必要である という主張です。もし光速が無限大なら、位相差はゼロになり、観測という現象自体が成立しなくなる。つまり、位相差は観測の障害ではなく、 観測可能性の根本条件 です。これは認識論を超えた存在論的主張であり、写真における『意図の記録』の物理的基盤となります。」

考えてる事 忘備録

見えている世界は実は過去だ。光がないと何も見えない。光速の分だけ遅れた現実を見て、人は今と思っている。 目の前の風景も、見えている太陽も、すべて過去の位相を持つ光を通じてしか認識できない。太陽の光は8分前のものだし、その太陽もまた8分前の地球からの光を受け取る。 光はそう速くはないというのが僕の昔からの認識だ。つまり位相がなければ存在できない。又は確認できないのではないかと考えている。  光は1秒で地球7周半 1周 0.13秒 1メートルあたり 0.0000000033秒 ・約3.3ナノ秒の遅れ。 光の速度は速い遅いではなく有限である事実。 光速:約30万km/秒 地球1周:約4万km 30万 ÷ 4万 = 7.5周/秒 1周 = 1/7.5 ≈ 0.13秒

第4章 水の音 311話

静かな村に住んでいる。井出に流れる水の音だけが聞こえる。そう言えば今日は休みであった。脳内に芽生えるものはない。今日は物語も休もうか。 考えているのは、先ほどから写真のことだ。撮って写し出された画像は、すでに過去である。その過去の物が現在も続いている。実はそれは非常に面白い。当たり前であったことが理論化されると、その一枚の写真は過去を表し、同時に現在の景色でもある。 二層の位相が同時に存在することが実証されている。さらに、それを見る者の意識という三層目の位相も存在する。言葉をブログに書けば伝達され、さらに複数の位相が成り立つ。 僕はこれを写真化したいのだ。 そんな或る日。 「不二子はん、今日はなんもしたないわ」 「お疲れ様どす。不二子もなんもしたないわ(笑)」 「海行かへんか。きょうは行かへんけど」 添い寝する不二子。 抱き寄せるよしろう。 「ええどすえ。どこでも一緒におりたいでぇ」 「魚は元気か?」 「水温26度。エサは一回。水が減ったら、適温の温水を入れとりますで」 「ほう。大したもんや。おおきにな」 「あのローライのカメラ、いつ修理から帰ってくるどす?」 「来年やて」 「ながいどすな。写真、撮られへんな。よしろうはん」 「ええねん。心配せんと。これは待つ時期や。カメラなしでも、いつも目で記録して検証しとる」 「ほう。信じますえ。不二子は」 ふふ うふふ    

僕が息子に伝えたい事。

親父はな、ご飯くらい手を抜かへんで。 美味しく食べてほしいからや。 今夜の晩ご飯は―― ペペロンチーニ風の、伊藤ハムアルトバイエルンウインナー入りパスタ(息子が好きだからどうしょうもないw) セロリとカボチャのスープ 粉ふきいも、バター添え・?ばたーないやん。。 あとは、ルバーブのピクルスや大根の漬け物もあるけど、 たぶん食べへんやろな。 まぁ。俺はお前の事すきやねん。 当たり前やけどな。    でもな。それくらいわかれ。 

タブレットから

 突き抜ける光 相変わらずここは私の好きな九州島だ。 

簡易紅茶の作り方

緑茶用の新茶の葉を紙パックに入れて、保温瓶の中へ。お湯を入れ翌日を待つ。 翌日にはまだ茶色。もう一日待つ。今度は赤みがかった紅茶色。 ちょっと飲んでみた。 何となく紅茶の香り。ほんの少しですけど。 美味しい。    面白い実験ですね。 緑茶の新茶を保温瓶で二日間発酵させて、色の変化を観察されたんですね。茶色から赤みがかった紅茶色への移行—これは酸化発酵のプロセスそのものです。 紙パックを使うというのも手軽で良いアイデアだと思います。茶葉が広がりすぎず、適度な発酵が進むんでしょうね。 ほんの少しでも紅茶の香りが出ているというのは、発酵が上手く進んだ証拠です。本格的な紅茶の製法では揉捻(葉を揉んで細胞を壊す)や温度管理がありますが、保温瓶という環境で自然に発酵させる方法も独特の味わいが出そうですね。

第4章 Betta splendens(ベタ・スプレンデンス) 310話

「不二子はん、魚、ええの買うてきたで」 「へえ。今晩は、なんのお魚食べはりますの? 見せてみ」 「ほれ、これや」 「……?」 「これ一匹? それに、メダカみたいな小さな魚?」 「そうや。これが旨いんよ」 「冗談、わかってますえ。これ、なんのお魚どす?」 通称 ベタ 正式名  Betta splendens (ベタ・スプレンデンス) 分類: スズキ目 キノボリウオ亜目 オスフロネムス科 ベタ属 一般に「ベタ」や「闘魚」と呼ばれる観賞魚で、 タイやマレーシアなど東南アジア原産の淡水魚。 「そうなんやな。熱帯魚どすか」 「なんかな、この村に“熱帯魚”て暖簾の出てる魚屋があるんよ。 行くたび閉まっててな。今日はたまたま店主が隣の家におられて、やっと買えたんや。 建設会社の息子が熱帯魚好きで、親父さんが応援してるらしい。 奥から綺麗な娘さんが出てきてな、『あ、門出の方ですよね』言われて、 ここが昔ラーメン屋やった時の女将やって気づいたんよ。 旨いラーメン屋で、よう通ったわ」 「不二子も見てみたい。その熱帯魚屋さん」 「ええで。アロワナとか、爬虫類みたいな魚もおってな。 意外と広うて、ぎょうさんおるから驚くで」 「へえ。ほな、今から行こか? よしろうはん」 「そういう性格、ぼく様は好きやで(笑)」 「ほな、行こ」 そのまま二人は、熱帯魚屋へ向かった。 ジェラシック・パークよりも、 実際に泳ぐ怪獣の様な魚の姿が二人を夢中にさせた。