京都芸大出願の覚書
経歴
1983年 熊本県立大津高等学校卒業
1983年 私立大阪芸術大学 写真学科入学
1986年 ポラロイド学生フォトコンテスト2位
1987年 私立大阪芸術大学卒業
1987年 新川写真事務所設立 主に建築写真を撮る。
1991年 帰郷のち再春館製薬所にて媒体出稿、広告立案などの業務を行う。
1994年 大手コマーシャルスタジオにて広告撮影を学ぶ。
1998年 再び新川写真事務所と新川写真研究所を立ち上げる。
コマーシャルや大手出版社、日経新聞 日経PB社 宝島出版社など全国紙地方紙合わせて27誌と契約を交わし撮影。
2000年頃よりAlternative photographic processes オルタナティブ写真プロセスの研究を始める。
2016年 パリのフォトマガジンで発表。表紙と中ページ16ページを飾る。https://issuu.com/magazineflash/docs/flash_japon_summer
それ以降、環境共生に着目。理由は写真では環境は改善しない。それで農業会社を立ち上げ無農薬圃場を拡大中。
写真の基本スタンスは、
Environmental and ecological records. 環境と生態の記録
Yoshiro Shinkawa Photography 新川 芳朗
上記の活動を行っています。
志望動機
ケミカルフォトグラフィーが私の専門です。
コダックの写真美術館館長であるマーク オスターマンが提唱する、写真200年余りの過程で生まれた写真技法を再現しようと世界中に呼びかけました。今ではAlternative photographic processes オルタナティブ写真プロセスと呼ばれ、世界中で研究されています。
私もAlternative photographic processesの団体に加盟し活動を行てきましたが、私のアクセスするGoogle+が終了したため、独自に研究を続けています。
私はこれまでソルトプリント、サイアノタイプ、リスプリントを研究してきました。多くはオリジナル調合レシピから始め、今ではより効率的な自家調合レシピを開発しました。
さて、今私が次に着目しているのはアルビュメンプリントです。
このプリント技法も一見簡単に思われますが、私はまだ納得のいくプリントを得られていません。ネット情報にはない、卵白の熟成法や支持媒体選択、その他硝酸銀のパーセンテージも昭らかではありません。
私はユージェーヌ アッジェのオリジナルプリントを見たことがありますが、あのような深みのある描写は決して簡単には真似が出来ないと思いました。ただ私の考えは人間が出来た事なら必ず出来ると思っています。
アッジェ同等のプリントを達成したいと考えています。
年齢的に子供たちも独立し純粋に写真の研究に没頭出来るのではないかと志望いたしました。
写真文化は革新も大事ですが継承が最も大切と考えています。
その写真文化を後世に伝えるのが大きな目的。
将来は教授として次世代の写真家に教え、伝えて行きたいと考えています。
以上です。
研究テーマ
私の研究テーマは2つです。
ひとつ目は、Alternative photographic processes オルタナティブ写真プロセスの研究。
20年間培ったリスプリントは銀塩写真でも最も華やかで変化にとんだ技法でした。しかし余りにも現像液の酸化度合いや液温の調整でのムラが工程を均一にしても同じものが出来ないという長所でもあるが短所があります。印画紙の高騰や現像液の生産中止などで気軽には実験できない状況です。次に比較的簡単なソルトプリントを学びました。多くのデータを元になんとか納得する画像を得れるようになりました。特にオーストラリアの第一人者であるエリー ヤング氏のハンドブックを購入して学びましたが、まだまだ奥が深い世界だと自戒しました。ただ支持体の滑面さがシャープネスに大事であり、卵白、ゼラチン、バリウムなどの平面性が支持体になければシャープネスは達成できません。次に私はサイアノタイプの研究を始めています。1842年イギリスのジョン・ハーシェルによって発明された技法で、鉄の反応です。出来上がった青はプルシアンブルーと呼ばれ、塩化銀などの様に不安定な化合物ではなく、顔料に変化します。ゴッホの青や葛飾北斎の青も同じ化合物になります。
史上初の写真集を出版した女性植物学者のアナ・アトキンスですが、写真集『Photographs of British Algae』を1843年に刊行しています。
その美しさに感動し、それまでの概念であった青写真を覆しました。
この調合もオリジナルのジョン・ハーシェルよりも深い青の出るレシピを最近作りました。
いよいよ私の目的はアルビュメンプリントです。
果たして5年間で出来るかどうかも分かりませんが、日本語で鶏卵紙と呼ばれるこの技法で多くの歴史的写真が残されています。
ダゲレオタイプ程ではないですが、シャープネスも十分で、深度の深さは現代のバライタ紙よりも優れていると思われます。
その研究が私のテーマの一つです。
次は写真哲学。
私は見えない世界を写したいと考えています。
理論的には可能で、量子力学では見えない世界は実は存在していると定義します。
アンディーウォーホールはシルクスクリーンで事故の写真を2つ並べて、事故だけではない認識を提唱しました。
私はThinking to Zeroというタイトルで様々な見え方の差異を研究して来ました。
学芸員であるサデウス・ジョン・シャーカフスキーがMirrorsand Windows:American Photography since 1960 (1978)を書き、ニューヨーク近代美術館にて写真家を2体系に分けた事はある意味革命的であった。
当時大阪芸術大学の有野永霧先生に教わった時、写真の分類法は深く私の心に残った。
私は先ほども述べたように見えないものを写したいのだと考え、THINKING TO ZERO というテーマでいろんな角度からアプローチした作品を作りつづけています。
以上です。