ファッロに学ぶ

ファッロには数種類の小麦品種が混じっている。多くはエンマー小麦で次がスペルト小麦が多い。ファッロとはイタリア語で殻付き小麦の総称であって品種名ではない。1万年近く改良される事なく栽培されてきた。今年私がファッロから学ぶことはそれぞれの品種の出穂時期は違うが種が存続して来たという事実に着目した。
 
エンマー小麦が一番早く、スペルト小麦は遅い。それらが同時に植えられ同時に収穫される。誇張して言えば早生の品種と晩生の品種を同時に植えて同時に収穫するという事だ。それは疑問に思うだろう。晩生の品種がその内無くなるんではないか?しかし違った。
ファッロの品種構成でエンマー小麦が圧倒的に多いのは何度も言うがエンマー小麦が早く出穂して早く実るからだが、晩生のスペルト小麦も僅かに混じっている。つまり晩生であっても早く出穂する個体もあり早く花を咲かせるものがあるので種として1万年近く残ってきたという事。
 
そういう見方をすればファッロの品種構成比率に興味が湧いて来る。人間との営みの中で残った種の構成比率の統計を取ってみたい。私はこの事を米で応用してみようと考えている。早生も中生も晩生もすべて混ぜて栽培し、品種の構成数を私の収穫時期決定が大きく作用するが自然の摂理で確定させようという視点。
私は現代の米の品種を使って明治期以前のような超多品種を同一圃場で育つイネ群を再現したい。これまで選抜や交配で培ってきた100年余りの人間の歴史とは真逆の方法で多品種の米を栽培し、多様性の底力や新たな可能性を見てみたい。
 
 

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