多様性のバランスと稲作

市民農園の田んぼは凄い。
オーガニック、JAS認証基準よりもさらに何も使わない農薬、肥料不使用を実践している。
そして耕起しない自然農法より遥かに収穫量がある。
恐らく今年は慣行栽培とさほど変わらない収穫量だ。
一年目の作り手さえ立派な稲を生産できている点だ。
今年ここでは湛水直播を試験した。
圃場内の草取りもあったが、ある程度影響のない下草も生えている。
スクミリンゴガイもいないので多様な生物も観察できる。
私の知る昭和期の田んぼに一番近い理想的な田んぼの姿だ。 
この様な多様性のバランスを重視した栽培が食の安全と生産性、経済性を両立する事が出来る。
市民農園は自分で食べる米は自分で作ろう、というコンセプトだが、仕事にしている私は、公正な価格を実現できる流通を作る事にチャレンジしている。
多様性とは圃場の自然環境や安全な栽培方だけではない、高すぎる米や、安すぎる米ではなく生産者も消費者も公正な価格で流通出来る事がなければ正常な経済が動かない。
経済が動かない農業では生産者はいなくなる。
生産から販売、消費者の健康全てがバランスよく回り、地球という環境が急変しない穏やかな変化を迎えるという事が農業から始まる多様性の真の目的だ。

 
 

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